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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/07/04 11:07, 提供元: フィスコ

リケンNPR Research Memo(7):市場環境変化はあるがエンジン生き残りのシナリオも

*11:07JST リケンNPR Research Memo(7):市場環境変化はあるがエンジン生き残りのシナリオも
■リケンNPR<6209>の成長戦略

1. 市場環境
グローバル自動車市場は新興国を中心に需要拡大基調が見込まれるものの、地球温暖化やエネルギー問題に対応するため環境規制やEV化が加速し、中長期的にICEの減少が予想されている。一方で、水素エンジンやe-fuelエンジンの開発も進められている。EVとHEV(Hybrid Electric Vehicle)のWell to WheelでのCO2排出量を比較すると、現在研究開発が進められている燃費効率50%のエンジンを搭載したHEVは、EVに対して競争力があることが示されており、HEVが次世代モビリティの選択肢になり得る可能性を示唆している。また、2023年3月にはEU(欧州連合)がガソリンエンジン車の販売を2035年に禁止するという従来の方針を変更し、CO2と水素を原料とする合成燃料を利用するエンジン車に限り2035年以降も容認することとした。このほかにも、EVの使用済車載電池の処理方法が課題となっていること、米国に続きEUが中国製EVへの輸入関税を引き上げたこと、米国トランプ政権が脱炭素化に向けた環境規制を後退させる方針を示していることなどにより、EV化のスピードが鈍化する可能性も指摘されている。

このような状況を背景に同社は、ガソリンエンジンのさらなる低燃費化や、水素・代替燃料などを使用する次世代エンジンへの対応など、エンジンの進化に向けた技術開発を推進するとともに、EV化の流れを踏まえて、非ICE領域での事業拡大にも注力して事業ポートフォリオ改革を進めている。


第一次中期経営計画の進捗は順調
2. 第一次中期経営計画(2025年3月期〜2027年3月期)
同社は2024年2月に第一次中期経営計画(2025年3月期〜2027年3月期)を策定した。中期経営方針を、1) 経営統合によるシナジー創出、2) 事業ポートフォリオ改革、3) サステナビリティ経営の強化・成長基盤の整備として、定量目標値は最終年度2027年3月期の売上高1,800億円、経常利益率9%以上、ROE8%以上とした。なお、「2030Vision」の目標値は2031年3月期の売上高2,000億円、経常利益率12%以上、ROE10%以上とした。定量目標の達成状況として2025年3月期は計画を達成して順調だった。2026年3月期は米国の関税政策や為替の影響で一時的な減速を強いられる可能性があるものの、シナジー創出の強化などにより挽回を図る。

成長戦略として、事業ポートフォリオ改革・シナジー創出・バランスシート最適化に取り組み、株主資本コストを上回るROEの実現を目指す。統合シナジーとして売上面では、相互のブランド力や販売ネットワークの活用、製品ラインナップ充実などによる既存事業のシェア拡大、技術提案型営業体制の確立や水素/代替燃料対応などによる多彩なソリューションの提供、新製品の創出・事業化を推進する。コストシナジーとしては、2027年3月期に年間30億円の効果を計画している。内訳としては、事業部門では共同購買による調達コスト低減、ロジスティクス拠点集約、国内外拠点の生産最適化などによる製造コスト削減で14億円、管理部門ではコーポレート機能統合、ITインフラ統合、その他販管費削減などで16億円となっている。

なお同社は、2025年10月には新評価制度を導入し、2026年4月には新人事制度へ移行する予定だ。加えて、2026年4月にグループ組織再編を行い戦略的事業単位の事業部制を敷いた事業持株会社へ移行するとともに、新たな販売物流システム、統一した人事給与システム、会計システムの運用開始を予定している。

中期戦略の着実な遂行に加え、IR活動の充実化を通じた株主資本コストの低減も推進する。キャッシュアロケーションとしては、3年間で創出するキャッシュ630億円(営業キャッシュ・フロー600億円+政策保有株式などの資産売却30億円)を、さらなる成長と株主還元に向けて適切に配分する。具体的にはキャッシュアウトとして株主還元に200億円、戦略投資に430億円(設備投資・M&A等の成長投資に400億円、研究開発費に従来水準から30億円増加)を計画している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)



《HN》

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