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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/07/07 13:04, 提供元: フィスコ

品川リフラ Research Memo(4):耐火物セクターが主力。各セクターで生産整備と最新技術により競争力を強化

*13:04JST 品川リフラ Research Memo(4):耐火物セクターが主力。各セクターで生産整備と最新技術により競争力を強化
■品川リフラクトリーズ<5351>の事業概要

2. 事業内容
(1) 耐火物セクター
耐火物セクターは、同社の耐火物事業本部、セラテクノ、品川ゼネラルの国内関係会社2社、及び瀋陽品川冶金材料有限公司(以下、瀋陽品川冶金)(中国)、遼寧品川和豊冶金材料有限公司(以下、遼寧品川和豊)(中国)、Shinagawa Refractories Australasia Pty Ltd(以下、SRA)(オーストラリア)、Shinagawa Advanced Materials Americas Inc.(以下、SAM)(米国)、SR do Brasil Ltda.(以下、SRB)(ブラジル)、PT. Shinagawa Refratech Perkasa(以下、SRP)(インドネシア)、Gouda(オランダ)グループ12社などの海外関係会社で構成され、グローバル展開を加速している。同社グループは顧客の使用条件に適合した製品を提供する顧客密着型ソリューションを提供することで、グローバルな顧客から第一に選ばれる事業者を目指している。

連結売上高の顧客業種別売上高構成比は、鉄鋼業向けが8割超を占め依存度が高い。JFEスチールと神戸製鋼所への連結売上高の依存度は5割を超える。同社は、高炉メーカーへの売上規模が大きいことから、主要顧客の製鉄所内に営業所やエンジニアリング事業部の拠点を置き、設備稼働率の維持、高い歩留り、高品質に加え、GHG排出量削減といった鉄鋼メーカーのニーズに迅速に対応している。

a) 国内生産体制
同社は2009年の合併以降、生産集約と最適生産体制を推進し、現在は湯本、鹿島、赤穂、日生、岡山、玉島の6工場体制を構築している。2022年3月期上期からは西日本地区の不定形耐火物生産拠点の集約に向けた取り組みを開始した。2024年9月には赤穂工場の最新鋭プラントが本格稼働し、2025年3月に日生工場と帝窯工場の全ての不定形耐火物の生産を赤穂工場に集約した。2026年3月期より西日本地区の不定形耐火物は赤穂・玉島工場の2拠点生産体制となり、日生工場はモールドパウダー専門工場へ転換し、帝窯工場は閉鎖した。東日本地区では、湯本工場の不定形耐火物を鹿島工場に集約した(2024年3月完了)。

主要国内定形耐火物プラントの多くは高度に自動化され、省力化・自動化のために工業用ロボットを導入している。最新のコンピュータ統合生産システムによる生産管理と、自動全数検査システムの導入によって徹底した品質管理体制の実現に取り組んでいる。成形には、最大5,000トンの油圧真空プレス機を使用し、焼成は最高温度1,850℃のトンネルキルンで約1週間かけて行っている。

b) 主要製品
耐火物セクターの主要製品は、定形耐火物、不定形耐火物、機能性耐火物、連続鋳造用モールドパウダー、関連副資材である。定形耐火物は高温設備の操業条件に合わせた多様な組成の煉瓦を揃える。不定形耐火物は、キャスタブル、吹付材、プレキャストブロックなど多岐にわたり、施工方法や工期に応じた最適な製品を提供する。特に吹付材は短時間施工や緊急補修に適し、プレキャストブロックは顧客の工期短縮に貢献する。欧州メーカーが標準品を供給する一方、同社は顧客が最適な操業ができるよう、顧客ニーズに合わせた耐火物製品を供給している。耐火物の需要は、海外では定形品4:不定形品6の割合だが、日本では定形品3:不定形品7である。

連続鋳造用モールドパウダーは、高品質な鋼材生産に不可欠な製品であり、国内の耐火物メーカーでは同社のみが手掛けている。溶鋼表面の保温、酸化防止、鋳型と鋼塊間の潤滑など重要な機能を果たし、スライドゲートプレートや浸漬ノズルなどの機能性耐火物とともに、同社の戦略製品に位置付けられている。同社は浸漬ノズルの販売に加え、浸漬ノズル迅速交換装置も提供することで、顧客の作業負荷低減にも貢献している。

(2) 断熱材セクター
断熱材のセラミックファイバーは、軽量性、低熱伝導率、高断熱性を兼ね備え、省エネルギーには欠かせない素材である。施工性に優れた各種モジュール、成形品、断熱ボード、シート、ガスケットなど、多様な製品を揃え、顧客ニーズに対応している。

同社は、2004年にイソライト工業を買収(持株比率が54.9%)し、その後2022年3月末にTOB及び株式売渡請求により完全子会社化した。

(3) 先端機材セクター(旧 セラミックスセクター)
同社は、1978年にファインセラミックス事業を開始し、2002年に品川ファインセラミックス(株)として分社化した。2022年にはフランスのCompagnie de Saint-Gobain S.A.(サンゴバン)から米国の耐摩耗性セラミックス事業をShinagawa Specialty Ceramics Americas LLC(以下、SSCA)が譲り受けた。ファインセラミックスは、微細組織を高度に制御したセラミック素材である。材質はアルミナ、ジルコニア、炭化珪素、サイアロンなどがあり、多様な機能や特性を持ち、各種ローラー、ダイス、ポンプパーツから半導体・液晶製造装置用セラミック部材まで、幅広いエンジニアリングセラミックスを提供している。

2024年3月には、コムイノベーションを買収により連結子会社化した。これを契機に、半導体製造装置業界や航空宇宙・エネルギー関連業界での事業領域の拡大を図るため、2025年3月期より「セラミックスセクター」を「先端機材セクター」へ名称変更した。さらに2025年4月には、品川ファインセラミックスを同社に吸収合併、先端機材事業本部を新設した。経営資源の統合による生産基盤の整備・拡大と経営効率化を進めている。

(4) エンジニアリングセクター
エンジニアリングセクターでは、耐火物及び断熱材を使用する工業窯炉の設計・施工・メンテナンスをはじめ、各種施工装置の製作など、高温プロセスを支える総合エンジニアリングサービスを提供している。近年の工業炉には、環境に配慮した省エネルギー、省力化、無害化、安全性などが要求され、窯炉の設計や施工には高度な技術が必要となる。同社は、鉄鋼業向けに取鍋や連続鋳造用のスライドゲート溶鋼流量制御装置、浸漬ノズル迅速交換装置など、幅広いニーズに最新技術で対応している。特に、大型ブロックリング工法による高炉改修工事への参画では、超短期改修に貢献した。ごみ焼却炉、溶融炉などの環境関連設備においても実績を持つ。2025年5月には、Reframax(ブラジル)が新たに加わった。

(5) その他
その他の不動産事業は、保有不動産の賃貸や土地の有効活用を行う。賃貸契約が終了し遊休資産となった物件を売却し、コアビジネスである耐火物及び関連製品事業の設備投資やM&Aの資金に充当している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)


《HN》

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