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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2025/08/08 13:04,
提供元: フィスコ
戸田工業 Research Memo(4):2025年3月期は前期比20.7%の増収(2)
*13:04JST 戸田工業 Research Memo(4):2025年3月期は前期比20.7%の増収(2)
■戸田工業<4100>の業績動向
2) 誘電体材料
誘電体材料は売上高1,500百万円(11月修正予想比計画どおり、前期比500百万円増)、営業利益0百万円(11月修正予想営業利益率7%に対し収支均衡、同1億円改善し収支均衡)となった。売上高としては過去最高水準にある。同社の誘電体材料はMLCC誘電体主材ではなくMLCC用共材として、特に超微粒を必要とする製品として供給している。ちなみに共材とはMLCCの内部電極(Ni微粒子)と誘電体層の機械的結合を高め、焼成収縮差を緩和するために混入する材料で、10〜50nm級BaTiO3。電界均一化・信頼性向上に寄与する。MLCCの主原料であるチタン酸バリウムの製法においては、シュウ酸塩法、固相法、水熱合成法等がある。同社は水熱合成法に属するが「湿式合成法」に分類される独自の水熱技術で、高温高圧下で水溶液中の反応を利用しBaTiO3を直接合成、粒径30〜150nmのシャープな粒度分布・均一形状の超微粒BaTiO3を製造、高機能・高付加価値品に注力している。このため、昨今のIT不況によるMLCC主要企業の収益悪化とは異なる動きとなっている。ただし利益面で利益改善とはなっているが収支均衡に留まっているのは将来のさらなる成長を目指し、研究開発に力を入れているためである。
3) 軟磁性材料
軟磁性材料は韓国戸田マテリアルズの完全子会社化で次世代材料として2025年3月期より通期寄与し売上規模が急拡大している。売上高は6,600百万円(11月修正予想比計画どおり、前期比6,100百万円増)、営業利益収支均衡(11月修正予想営業利益率0%比計画どおり、同300百万円改善し収支均衡)となった。軟磁性材料とは比較的小さい外部磁場で容易に磁化され、磁場が除かれるとほぼ完全に脱磁する特性を持つ材料で、酸化鉄を主成分とするフェライトのほか、鉄を主成分とする合金系などの磁性材料がある。同社は高透磁率、低損失、高飽和磁束密度を持つ磁性材料を素材からコンパウンドまでワンストップで提供している。主な用途は各種インダクター(電気と磁気を相互作用させ電流制御を行う電子部品で、電流の安定化、電圧の平準化、交流電圧の変化などの電源用途)や、スマートフォンのRFID機能、非接触給電用途があり、コイルから発生する磁束を通すコア部分やコイルに貼り付けるシート部分に使われる。戸田マテリアルズはこれまで主力事業として電波暗室向けの電磁シールドタイル、フェライトコア、自動車用ワイヤレス給電モジュールなどを手掛けており、必ずしも加工品での収益性は芳しくなかったが、近年、インダクター用の金属軟磁性粉などの素材事業が成長し、合理化活動などで、2025年3月期は国内の営業損失を戸田マテリアルズの黒字で補って収支均衡にまで改善を果たした。また、完全子会社化で戸田工業とのシナジー効果をにらみ、さらなる成長を目指す。
4) ハイドロタルサイト
同材料は従来、塩ビ安定剤、農業用フィルム保温剤などを主としていたが、レッドオーシャン市場であり、再生・転換事業として位置付けていた。2024年5月には、提携していた堺化学工業<4078>との提携解消を発表している。売上高900百万円(11月修正予想比100百万円増、前期比200百万円減)、営業損失200百万円(11月修正予想営業利益率-21%に対し6ポイント悪化し-27%、同100百万円改善し損失縮小)となっている。基本的に提携解消による販売減少の影響が大きく、高付加価値製品への再生・転換中であり、売上が減少するなかでコスト削減を進めて損失幅縮小となった。
5) LIB用材料
LIB用材料は売上高2,400百万円(11月修正予想比2,200百万円増、前期比1,200百万円減)、営業損失1,300百万円(11月修正予想営業損失率314%、262ポイント縮小、同1,900百万円悪化し営業損失転落)となった。電池関連材料のリチウムイオン用前駆体製造を営んでいるTAMが販売先正極材料メーカーの不振の影響が長引いたために清算を決定、保有在庫を売却しており、実質は2,400百万円を下回る売上だったと見られる。利益面ではTAM販売低迷による利益減となった。なお、営業外収支において持分法適用会社であるBASF戸田バッテリーマテリアルズ(同)においてもEV不振による収益悪化から、持分損益の損失(金額は非開示)が発生している。
(2) 機能性顔料事業
1) 着色顔料・トナー用材料
着色顔料・トナー用材料は売上高6,600百万円(11月修正予想比200百万円未達、前期比300百万円減)、営業損失400百万円(11月修正予想営業利益率-7%比2ポイント改善、前期比300百万円損失縮小)となった。内訳は複写機・プリンター向け、塗料向けが半々である。基本的に成熟市場であり、ペーパーレス化等の進展などの影響からトナー材料等が予想以上に低迷、塗料も公共事業などの不振で伸び悩んだ。ただし利益面では収益改善に向け製品価格是正、原価低減及び諸経費削減により損失縮小となっている。
2) 触媒など
触媒は売上高1,500百万円(11月修正予想比変わらず、前期比400百万円増)、営業利益100百万円(11月修正予想営業利益率6%比2ポイント向上し8%、前期比横ばい)となった。同触媒の中心はプラスチックやゴムの原料となるスチレンモノマー用触媒で、スチレンモノマー製造の主流である「エチルベンゼンの脱水素反応」用に使われるが、鉄系をベースとした「湿式合成技術」を駆使し独自の組成を有し、反応効率が高く、スチレンへの変換効率が高いのが特徴である。トップシェア企業を含め国内外の化学メーカーに収めており、収益性も高い製品となっている。同触媒は新設プラントに加え定期修理時にも使用されるため、年により売上が変動するものの、世界的にスチレンモノマーの生産が緩やかに伸びていることと、シェアアップで収益が拡大している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
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