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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/09/22 13:03, 提供元: フィスコ

STIフードHD Research Memo(3):セブン-イレブン向けシェアが89.3%を占める

*13:03JST STIフードHD Research Memo(3):セブン-イレブン向けシェアが89.3%を占める
■STIフードホールディングス<2932>の事業概要

1. 事業内容
同社が2025年2月に浜信を子会社化し、第2四半期より連結したことで、事業セグメントは従来の食品製造販売事業に加えてリテール事業の2セグメントとなった。なお、2025年12月期中間期の売上構成比は食品製造販売事業が95.9%、リテール事業(4〜6月の3ヶ月決算)が4.1%となっている。

(1) 食品製造販売事業
販売先別では、セブン-イレブン向けの売上高が89.3%(2024年12月期)を占め、セブン-イレブン向け以外は10.7%(同)である。セブン-イレブン向けの内訳は、チルド惣菜やおにぎり具材のほか、冷凍食品、缶詰など常温食品である。セブン-イレブン向け以外は、自社ECサイトやamazonなどで扱う食品や、外食チェーン向けイクラや白子、食品スーパー向け缶詰や珍味などで、OEMの受託やペットフードの生産も行っている。製品別では、魚惣菜やカップデリなどチルド惣菜や缶詰、レトルト製品など食品が大半を占めるほか、おにぎり・弁当・パスタ・サラダ向けに生産・販売される水産具材など食材を生産している。なお、セブン-イレブン向けの商流は、食品についてはセブン-イレブン各店への販売(物流は各地共同配送センターへの配送)、食材については食材商社への卸売となっており、食材はその後おにぎりなどを生産するデイリー惣菜メーカー(コンビニベンダー)へと運ばれる。

a) 食品
チルド惣菜の素材となるサーモン、サバ、ホッケ、イカ、タコ、赤魚などについては、旬の時期に国内外で水揚げされた高品質の原材料を、自社による徹底した検品体制のもとに調達し、徹底した温度管理によって下処理から骨取り、加熱調理、冷却、包装など一貫生産を行うことで、おいしさを逃がさないようにしている。また、チルド惣菜は一般に消費期限が短いため、販売機会ロスやフードロスにつながりやすいという課題を抱えているが、同社は商品包装に特殊な機械を導入するなど操作方法を工夫することで、消費期限の大幅な延長を実現した。チルド惣菜以外では、サバ、サーモン、カツオ、マグロといった水産原材料を使った缶詰・レトルト製品を、保存用だけでなく毎日の食卓におかず(惣菜)として食されることを前提に生産している。特にサバはDHAやEPAといった不飽和脂肪酸を多く含むことから、ヘルシー食品として需要が伸びている。同様に健康志向から、オリーブオイルを豊富に使用した缶詰やカルシウム豊富な骨をそのまま食べられる缶詰なども注目されている。

b) 食材
コンビニエンスストアのおにぎりの素材となるサーモンやイクラ、辛子明太子などに関しても、食品と同様、旬の時期に国内外で水揚げされ、検品と温度管理を徹底した高品質の原材料を使用している。売れ筋のサーモンフレークは、特許取得済みの特殊な製法により家庭での焼きたての味や食感を再現でき、日本人のみならず外国人からも好評である。イクラに関しては、かつては菌管理の問題からおにぎりの具材として使用が難しいと考えられていたが、これも特許取得済みの同社独自の静菌管理技術(細菌の発育・増殖を抑制する技術)によって使用が可能となり、着色料などを使用せずに、熟成したサーモン卵本来のおいしさを引き出すことを実現した。辛子明太子についても、熟成による自然なおいしさに加え、着色料・添加物を使用しない安全・安心な食材として消費者に好評である。

(2) リテール事業
2025年2月に浜信を子会社化し、第2四半期より連結化したことでスタートした新たな事業セグメントである。浜信は東京都中央区に本社を構える持株会社で、水産加工食品の販売及びその他付随する事業を展開している。浜信の100%子会社である味の浜藤は1925年創業の今年100周年を迎える老舗企業で、「味の浜藤」という有力ブランドを有している。創業時は珍味を主軸に海産物を販売していたが、その後は漬魚・煮魚の水産加工物・弁当・惣菜などの食品製造販売事業を拡大、現在では首都圏をはじめとした百貨店や駅ナカで28の販売店を運営している。同じく浜信の100%子会社である藤兵衛は、味の浜藤で販売する製品を製造している。浜信は、2024年2月期連結決算で売上高3,394百万円、営業利益78百万円という事業規模を誇る。今後同社は、浜信が有する高いブランド力・商品力・販売網と、同社が有する経営ノウハウを掛け合わせることでシナジーを発揮し、日本の水産加工食品のさらなる普及発展に向け努めていく考えである。


関西工場の稼働により生産拠点網が最適化

2. 調達体制と生産体制
同社は、水産原材料をその時々の相場で複数の商社・問屋から広く調達することにより、必要なサイズ、必要な数量を安定して確保する仕組みを構築している。さらに同社の現地社員は、素材の検品や加工状況などに自ら立ち会って現物を確認することを原則としている。例えばチリでの養殖素材の調達では、同社子会社のSTI CHILE S.A.の担当者が、養殖水域の水質や養殖状況から、投与された抗生物質が残留していないことを示す分析証明まで、トレーサビリティ(製品・調達原材料の生産・流通過程を追跡可能にするための管理体制)の確認を徹底して行っている。

また、同社は、東北、関東、東海、関西、九州に生産拠点を有している。工場ごとに異なる得意分野・商品群を組み合わせることで、コンビニエンスストアが必要とする3温度帯(冷凍・冷蔵・常温)の食品や食材の生産を効率的に行っている。これらの工場は子会社が運営しており、主にコンビニエンスストア向けに焼魚、煮魚、カップサラダなど水産惣菜を手掛けているのが(株)STIフード、(株)STIデリカ、(株)STIエナック、(株)STIミヤギで、素材のおいしさを最大限に引き出すためチルド(冷蔵)温度帯で生産から出荷、販売までを一貫して行っている(一部工場では冷凍惣菜の生産・販売も行っている)。STIエナック、STIミヤギでは、おにぎりや弁当、パスタ、サラダなどに使用されるサーモンフレーク、イクラ、辛子明太子といった水産食材を、食材商社などを通じてデイリー惣菜メーカー向けに生産・販売している。また、STIミヤギ、(株)STIサンヨーでは缶詰・レトルト製品などを生産、STIサンヨーではペットフードの生産・販売も行っている。同社は、北海道を除く全国のセブン-イレブンやベンダーに向けて、こうした子会社工場から商品を供給している。これまで生産能力を上回る勢いでチルド惣菜が伸びてきたことから生産能力や配送体制に課題があったが、2024年11月のSTIエナック関西工場の稼働により生産拠点網の最適化が進んだ。このほか、味の浜藤と藤兵衛が生産工場を小名浜と東京に有しており、味の浜藤の店舗を通じて消費者向けに直接販売をしている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)


《HN》

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