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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/11/17 11:07, 提供元: フィスコ

和田興産 Research Memo(7):2026年2月期業績は期初計画を据え置くも利益は上振れ余地あり

*11:07JST 和田興産 Research Memo(7):2026年2月期業績は期初計画を据え置くも利益は上振れ余地あり
■和田興産<8931>の今後の見通し

1. 2026年2月期の業績見通し
(1) 事業環境について
2026年2月期の事業環境として、国内の不動産市況については2025年9月に国土交通省が公表した基準地価(住宅地)が全国平均で4年連続上昇し、地方エリアでも上昇が継続するなど堅調に推移している。2025年内に日銀が金利の引き上げを行う公算が大きくなっているが、水準的には依然低位圏にあり金融機関の融資姿勢も大きな変化はない見通しだ。建築コストの上昇により同社の営業エリアである神戸市・阪神間の分譲マンションの平均販売価格は今後も緩やかな上昇が見込まれるが、最近は共働き世帯がペアローンを組み、借入可能額を増やして住宅を取得するケースも増加していることから、当面は堅調な需要が続くとの見方に変わりない。実際、2025年上半期における近畿圏の新築マンション供給戸数が前年同期比10.2%増の7,063戸と伸長するなかで、契約率は好不調の分岐点となる70%の水準を上回る77.1%となるなど需要に陰りは見えていない。こうした状況から、下半期においても販売面においては良好な市場環境が続くものと予想される。

(2) 業績計画
2026年2月期の業績は、売上高で前期比2.2%増の41,000百万円、営業利益で同14.9%減の4,500百万円、経常利益で同22.3%減の3,500百万円、当期純利益で同19.9%減の2,500百万円と期初計画を据え置いた。これは、前期の増益に寄与した分譲マンション販売やその他不動産販売が、好採算プロジェクトの減少により減益に転じると見ているためだ。売上総利益率が低下し、販管費も分譲マンションの販売経費や人件費を中心に前期比で若干増加する計画だ。また、営業外収支で同217百万円の悪化を見込んでいる。保険解約返戻金88百万円がなくなるほか、有利子負債の増加や金利上昇による支払利息の増加が悪化要因となる。同社の有利子負債残高は中間期末で600億円を超えており、金利が0.5%上昇すれば年間で3億円の支払い負担増となるため、今後の金利動向には注視が必要だ。ただ、中間期業績が利益ベースで計画を超過しており、下半期も事業環境に大きな変化はないことから、通期でも利益ベースで計画を超過する可能性は高いと弊社では見ている。


分譲マンション販売は価格上昇で増収が続く見通し

2. 事業セグメント別見通し
(1) 分譲マンション販売
売上高は前期比7.5%増の32,900百万円を計画している。引渡戸数は同6.5%減の600戸となるが、平均販売単価が約55百万円と約15%上昇することが増収要因となる。利益面では、好採算プロジェクトの減少により売上総利益率で3ポイント程度低下することを想定し、減益で計画している。下半期の引渡戸数は274戸となるが、このうち235戸は2025年8月末時点で契約済みとなっており、残りは今後の販売活動で達成を図る。

下半期の竣工予定物件は5棟、総戸数で233戸となるが、このうち2025年8月末時点で契約済み戸数が217戸、契約率で93.1%と高水準となっており、旺盛な需要が続いていることが窺える。また、地域別の仕入済未発売プロジェクト数は、神戸市で18棟:728戸、阪神間で2棟:57戸、明石市〜姫路市で7棟:333戸、大阪府で4棟:314戸となっており、年間600戸ペースで販売すると仮定した場合、2年超は手持ち物件で賄えることになる。このうち、兵庫県加古川市の初プロジェクトとなる「ワコーレ加古川駅前」(総戸数63戸)は2025年12月の発売予定で、2027年7月に引渡を予定している。また、共同開発プロジェクトのうち大阪府堺市の団地再開発事業(5社共同プロジェクト)となる「トモニアルシティ」(総戸数647戸(非分譲住宅214戸含む))は2025年8月に発売を開始し、2027年5月の引渡予定となっている。同社の販売シェアは10%で43戸の販売を行う。大型共同プロジェクトについては従来も適宜参画しており、今後も条件に適うプロジェクトがあれば参画する方針だ。

(2) 戸建て住宅販売
売上高は前期比2.7%増の1,900百万円を計画している。引渡戸数は同1戸増の43戸で平均販売単価も44百万円と横ばい水準を見込んでいる。中間期の引渡戸数が13戸と低進捗だったが、下半期は契約済未引渡戸数5戸に加えて5プロジェクトの販売を推進することで計画達成を目指す。引渡戸数が計画を達成すれば、セグメント利益も横ばい水準となる見通しだ。主なプロジェクトとして、「ワコーレノイエ 宝塚フロント」(兵庫県宝塚市、総区画数4区画)や「ワコーレノイエ 大池駅前」(神戸市北区、総区画数14区画)などがある。いずれも最寄り駅から徒歩数分程度と利便性が良く、太陽光パネルの設置等による省エネ住宅となっているほか、地震の揺れを軽減する木造住宅用制震装置「マモリー」を採用するなど安心・安全な戸建て住宅となっている点が魅力となっている。

(3) その他不動産販売
売上高は前期比30.2%減の3,000百万円、セグメント利益も2ケタ減益となる見通しだ。販売予定物件は、木造収益物件で4プロジェクト(69戸)、鉄骨収益物件で12プロジェクト(131戸)となる。前期は木造収益物件で1プロジェクト(3戸)、鉄骨収益物件で14プロジェクト(216戸)だった。販売用収益物件だけで見ると売上高は微減にとどまるが、前中間期に計上したマンション用地の素地売りを見込んでいないことが減収減益要因となる。ただ、想定を上回る価格で販売が進んでいることから、計画に対しては上振れするものと予想される。なお、開発中物件としては木造収益物件が1プロジェクト(15戸)、鉄骨収益物件が52プロジェクト(706戸)、RC収益物件が1プロジェクト(40戸)あり、合計54プロジェクト(761戸)が順次、販売用収益物件として収益に貢献することになる。

(4) 不動産賃貸収入
売上高は前期比2.5%減の3,200百万円を計画している。引き続き住居等の高稼働率の維持に取り組む方針だが、収益物件として保有物件の一部を販売する予定となっているため、売上高は一時的に減少する見込みだ。一方、利益面では前期に膨らんだ修繕費の減少等により前期並みの水準が見込まれる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


《HN》

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