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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2025/12/04 11:06,
提供元: フィスコ
SMK Research Memo(6):新技術の製品化及び展示会などにより事業化を加速
*11:06JST SMK Research Memo(6):新技術の製品化及び展示会などにより事業化を加速
■成長戦略・トピック
1. 中期経営計画「SMK Next100」が進行中
SMK<6798>は、2024年5月に、次の100年のスタートを機に長期ビジョン及び中期経営計画「SMK Next100」を策定し、推進中である。長期ビジョンは10期後に当たる2036年3月期を想定し、ありたき姿として「あらゆるニーズを実現する“ものづくり力”で、次の100年に貢献する。」を掲げた。同社の原点である、“ものづくり力”でエレクトロニクスを活用する顧客や社会の課題を解決する自信と責任を明確にしたものである。これまでのものづくりの蓄積を継承するとともに、今後は高周波技術やアルゴリズム技術を活用して付加価値の高い製品サービスを開発・提供する。業績目標としては、2036年3月期に売上高で1,500億円、営業利益率で10.0%、ROEで10.0%を目指す。また10年ビジョンの達成のために、3ヶ年の中期経営計画「SMK Next100」を策定し、持続的成長に向けた構造改革を加速させる期間と位置付けた。最終年度の2027年3月期の業績目標は、売上高で600億円、営業利益率で3.5%、ROEで5.0%である。
2. 構造改革プログラム:コスト構造の見直しの進捗
同社では2025年4月に、売上・利益を伴った成長を実現する人員・人件費構造の構築、日本国内の従業員数の適正化、社員配置の最適化を実施するため、希望退職を募集した。当初の計画では、100人程度(全体の10%程度)を想定していたが、実施結果としては、118人の応募となった。固定費削減効果としては、2026年3月期に490百万円(上期140百万円、下期350百万円)、2027年3月期以降700百万円/年が見込まれる。なお、希望退職者にかかる割増退職金、転進支援金、再就職支援費用などは、事業構造改革費用(特別損失)として853百万円が前期(2025年3月期)に既に計上されている。国内人員削減に伴い、営業所の閉鎖、管理部門の組織再編と規模適正化に取り組み、既に茨城営業所を閉鎖、広報室を財務企画部に統合するなどの変更がなされている。また、欧米販売体制の合理化も進捗が著しく、人員削減(北米12名、欧州2名)と経費削減による固定費削減が実施され、2026年3月期に380百万円(上期170百万円、下期210百万円)、2027年3月期以降420百万円/年が見込まれる。
3. 各事業セグメントでの最新トピック
【CS事業部】
同社では、より成長性の高いCS事業を重点注力領域として位置付け、資源投下を強化する戦略である。なかでも車載市場は最重点分野であり、四輪への対応に加え、E-Bikeや二輪などのモビリティ領域での拡販強化を行う。2026年1月を目途に、デリーにインド駐在員事務所を開設し、インド市場のさらなる開拓を目指す計画であるが、成長性の高いインド自動車市場において、現地メーカーへのコネクタの拡販をする狙いがある。近年、AIサーバー・データセンターは市場が急成長しているが、このセクター向けに自動車市場向けの技術・製品を応用して対応する方針であり、既に営業・商談が行われている。
【SCI事業部】
SCI事業部では、センサー・センシングビジネスを新たな柱として注力する。この分野で成長のドライバーとして期待される商品として、ミリ波レーダーセンシング技術を活用した非接触型の睡眠深度検知ソリューション「Milweb(R) Sleep」がある。この商品は、ベッドサイドに置くだけで睡眠状態を高精度に推定し、スマート家電と連携して一人ひとりに適した睡眠環境を自動的に提供する。従来の睡眠計測機器は装着型が主流で、使用者に負担をかけるケースも少なくないが、本商品は、24GHz帯のミリ波レーダーにより、非接触で微細な体動を高感度に検知し、装着型センサーにはない快適性と利便性を実現した。さらに、バイタル・睡眠分野の専門家の知見を取り入れて開発した同社独自の睡眠推定アルゴリズムにより、「覚醒・レム睡眠・浅い睡眠・深い睡眠」の4段階を高精度で可視化する。クラウド接続・ネット環境を必要とせず、個人情報の外部送信をすることなく、センサー単体でリアルタイムに判定できる特長がある。同社では、2027年からの販売開始を目指して拡販を行っている。
【イノベーションセンター】
選択と集中を行う方針のなか、ヘルスケア領域、特に「音声によるあたまの健康度分析技術」「筋電センサー」を重点ビジネスとし、リソースを注力することで早期の事業化を目指す。「音声によるあたまの健康度分析技術」に関しては、同社は、短い音声入力での脳の健康度を推定する技術を追究してきており、ストレスモデル開発(2026年1月見込み)、鬱モデル開発(2026年3月見込み)と事業化を見通せる段階に来ている。2025年10月には、同社と行政・医療・民間企業・研究機関が連携し、認知症予防推進に関する包括連携協定を締結した。具体的なメンバーは、奈良県宇陀市、宇陀市立病院、国立研究開発法人国立循環器病研究センター、国立研究開発法人国立長寿医療研究センター、東京電力パワーグリッド(株)、太陽生命保険(株)、(株)太陽生命少子高齢社会研究所、リージョナルデータコア(株)、J-MINT認定推進機構(株)である。本プロジェクトでは関係団体が垣根を越えて連携し、科学と地域社会の力を融合した「検知から介入・モニタリングまで」一気通貫の認知症予防モデルの構築に向けた取り組みを行う。同社は、太陽生命少子高齢社会研究所の下で、国立循環器病研究センターとともに、音声データを活用したMCI(軽度認知障害)スクリーニングツールの開発及び社会実装に取り組む。
【展示会】
同社では、複数の展示会に参加し、営業開拓を積極化している。2026年3月期上半期の主な展示会参加は以下のとおりである。
・人とくるまのテクノロジー展2025(2025年5月21日〜23日)
・Sensors Converge 2025(2025年6月24日〜26日)
・モーター技術展 2025(2025年7月23日〜25日)
・健康経営 EXPO 2025(2025年9月10日〜12日)
■株主還元策
業績変動時もDOE2%を目指す。2026年3月期は年間配当金100.0円を予想
同社は、株主への利益還元を経営上の最重要課題の1つと考えている。中期経営計画期間中は事業環境の変化に対応するための財務健全性の維持を前提に、株主資本配当率(DOE)2%程度を目途とした配当を目指している。過去10年間においては、親会社株主に帰属する当期純利益で損失を計上する期もあったが、一定の配当金を維持した実績がある。2025年3月期は、2025年4月に創立100周年を迎えたため、40.0円の記念配当が追加され、配当金140.0円(前期比40.0円増配、中間期末50.0円配、期末90.0円配)となった経緯がある。2026年3月期は、期初予想のとおり、配当金100.0円(中間期末50.0円配、期末50.0円配、記念配当分を除くと前期と同じ)を予想する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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