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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/12/26 11:07, 提供元: フィスコ

マイクロアド Research Memo(7):営業利益15億円を目指し、生産性向上と新規事業の取り組みも推進

*11:07JST マイクロアド Research Memo(7):営業利益15億円を目指し、生産性向上と新規事業の取り組みも推進
■今後の見通し

(3) 生産性向上施策
マイクロアド<9553>は、今後1〜2期で売上高200億〜220億円、営業利益15億円の達成を目標に掲げており、その実現に向けて、増員した人員の戦力化と生産性向上を軸とした成長戦略を推進している。この取り組みにより、従業員数の増加は抑制しつつ効率的な成長体制を構築し、販管費率の低減を目指していく。増員した営業人員の戦力化は、同社のトップライン拡大に直結する重要な施策として位置付けられている。2025年9月期第3四半期には非需要期により生産性が一時的に低下したものの、第4四半期には速やかに回復し、営業全体の生産性は前年と比較して着実に向上している。特に2024年4月に入社した新卒社員が担当する1人当たり平均アカウント数は、最需要期である3月を超える水準を記録しており、増員によって拡大した人員が確実に成果へつながり始めている。こうした新卒社員の早期戦力化は生産性向上施策の成果の一部であり、営業基盤の厚みを増す要因として重要な意味を持つ。

加えて、営業活動により多くの時間を割けるようにするための各種施策を導入し、業務効率化を推進している。具体的には、生成AIを活用した業務改革の一環として、社内チャットボットによるナレッジアクセスの効率化を図り、必要な情報を迅速かつ正確に取得できる体制を整備した。また、営業担当者が担う顧客へのレポート作成などの定型業務を自動化・削減し、営業活動に集中できる時間を増やしている。これにより、営業1人当たりで月間約5,145分(10日分)の業務時間削減を実現し、目標である4,800分(10日分)を上回る成果を拳げている。その結果、営業活動に費やす時間は5割増加し、営業1人当たりの提案数も1.5倍に増加している。また、提案準備や顧客訪問に費やす時間が増えたことで提案の質も向上しており、より大きな予算を獲得できるケースも増えている。

粗利生産性の向上に向けては、オフショア開発拠点として位置付けられていた中国・瀋陽の子会社を清算し、業務を国内へ移転する施策が進められた。この拠点清算により開発原価が削減され、今期は粗利率の改善に通期で寄与する見込みである。加えて、グループ内での人員適正化も進めており、子会社と本社の間で人的リソースを共有することで外部に流出していた費用の抑制を図り、業務委託費や開発原価の削減が進められている。これらの取り組みは内部リソースの最適配分を通じてコスト構造の見直しを行うものであり、その効果が粗利率の向上として現れる構造となっている。

(4) 事業アップデート
2025年6月に日本国内で正式にローンチしたTikTok Shopに関連した新規事業を開始している。100%子会社の(株)UNIVERSE PULSEでは、同社の企画・制作によってTikTok Shop出店企業の売上拡大を目的としたTikTok LIVEの新番組を開始した。UNIVERSE PULSEは2025年6月に設立された企業であり、TikTok Shop参入を総合的に支援する子会社として、「UNIVERSE」のデータと分析力を軸とし、事業提携によって構築した独自のインフルエンサーネットワークを強みとしている。新番組「推しコマ!」は2025年12月より放送を開始しており、TikTok Shopを舞台に視聴者がリアルに推すアイテムを紹介する構成とし、毎週月曜日から木曜日の1日2回週4日間の配信をしている。MCには、ゆうこす氏などの人気タレント・インフルエンサーを起用し、エンターテインメント性豊かな企画を通じて購買促進を図る。加えて、関連会社である(株)IZULCAでは、地方自治体との共同TikTokコマースを実施している。IZULCAは2025年6月に、中国版TikTok ShopをはじめとするECプラットフォームの運営代行など幅広い事業を展開するPinspaceグループとの合弁会社として設立され、同グループの日本進出支援や企業・自治体のTikTok Shop進出支援を行う。2025年9月に実施された兵庫県豊岡市との共同プロジェクトでは、企画立案からアカウント開設、ライブ配信の実施までを一貫して担当し、6時間で4百万円を超える売上を達成している。また、その後もIZULCAが地方特産品や農産物などを扱うTikTok Shopの「47マルシェ」では豊岡産ブランド米「にじのきらめき」の売れ行きが好調で、2025年11月13日〜19日の期間、TikTok Shopの全商品部門およびライブ配信販売の両部門で週間売上1位を獲得しており、同社のコンテンツ企画力や販売ノウハウが購買行動に結びついたと考えられる。

また、海外事業の拡大を目的として、中国・上海及びインドネシアの現地企業を連結子会社化する方針が示されており、2026年1月より連結対象となる予定である。海外事業では複数の事業領域における他国展開を積極的に推進しており、その内容は現地企業のデジタルマーケティング支援、訪日観光客向けのインバウンドマーケティング支援、日本のIPを活用したコラボ商品の現地消費者への販売拡大など多岐にわたる。これらの領域で各拠点との連携を深め、海外事業全体での規模拡大をねらう姿勢が鮮明である。

加えて、海外コンサルティング事業に属するIPmixerでは新プロジェクトが開始されている。日本の人気VTuberなどのIPとメーカー商品のコラボレーション企画から販売までを一貫して行う事業を展開しており、2026年度にはプロジェクト実施数のさらなる増加を予定している。新たに展開されるプロジェクトとして、2025年11月から1ヶ月の期間限定でスマートフォンケースのコラボ商品販売が開始された。台湾発のスマートフォンアクセサリーブランドであるRHINOSHIELDのスマホケース等と、ANYCOLOR<5032>が運営する「にじさんじ」及び「NIJISANJI EN」に所属するVTuberとのコラボレーション商品が対象となっており、IPと製品の組み合わせによる新たな需要を開拓する取り組みとなっている。また、2025年12月にも1ヶ月の期間限定でANYCOLORが運営する「NIJISANJI EN」所属VTuberとのコラボレーションコスメシリーズ「Glowing Shade」の受注販売を開始しており、今後も新プロジェクトのリリースが順次予定されている。なお、現時点では各プロジェクトにおける商品は期間限定の受注生産としているが、将来的には在庫を保有するモデルも視野に入れており、さらなる利益率向上を見込んでいる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)



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