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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/12/30 12:35, 提供元: フィスコ

四電工 Research Memo(5):2026年3月期中間期は大型案件の反動等で減収減益だが計画水準

*12:35JST 四電工 Research Memo(5):2026年3月期中間期は大型案件の反動等で減収減益だが計画水準
■業績動向

1. 2026年3月期中間期連結業績の概要
四電工<1939>の2026年3月期中間期の連結業績は受注高が前年同期比6.9%増の55,753百万円、売上高が同12.1%減の43,603百万円、営業利益が同20.0%減の3,635百万円、経常利益が同18.2%減の3,901百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同3.1%減の2,659百万円となった。大型案件の進捗が集中した前年同期との比較では減収減益だが、おおむね計画水準で推移した。また過去5期の中間期との比較でも各利益は前年同期に次ぐ高い水準となった。

受注高は順調に増加して過去最高となった。再開発案件、宿泊施設、教育施設の新築・整備工事などの大型工事を受注した。売上高の内訳は完成工事高が同13.1%減の40,807百万円、その他の事業が同4.9%増の2,796百万円となった。全社の売上総利益は同11.0%減少(完成工事総利益が同12.8%減少、その他の事業総利益が同3.7%増加)したが、売上総利益率は同0.3ポイント上昇して19.2%(完成工事総利益率が同0.1ポイント上昇して17.9%、その他の事業総利益率が同0.4ポイント低下して38.1%)となった。売上総利益は減収影響で減少したが、売上総利益率は工事原価の徹底管理により上昇した。販管費は同2.6%減少したが、販管費比率は同1.0ポイント上昇して10.8%となった。この結果、営業利益率は同0.9ポイント低下して8.3%、経常利益率は同0.7ポイント低下して8.9%となった。


電気・計装工事や空調・管工事が減少だが配電工事は順調
2. セグメント別、工事種類別・得意先別の動向
セグメント別(セグメント間内部取引消去等調整前)では、設備工事業は売上高が前年同期比13.1%減の40,848百万円で営業利益が同25.2%減の2,771百万円、リース事業は売上高が同7.0%増の1,504百万円で営業利益が同3.6%減の132百万円、太陽光発電事業は売上高が同1.5%増の1,280百万円で営業利益が同3.3%増の619百万円、その他は売上高が同4.2%増の643百万円で営業利益が同5.6%増の113百万円だった。設備工事業は配電工事が順調だったものの、電気・計装工事や空調・管工事が前年同期の大型案件の反動で減少したため減収減益だった。リース事業、太陽光発電事業、その他はおおむね堅調に推移した。

単体ベースの売上高は同18.5%減の35,691百万円で、工事種類別には配電工事が同4.9%増の18,102百万円、送電・土木工事が同1.7%増の2,038百万円、電気・計装工事が同40.8%減の9,693百万円、空調・管工事が同37.2%減の3,472百万円、情報通信工事が同13.6%減の1,694百万円、兼業事業が同5.2%増の688百万円、そして得意先別には四国電力グループが同4.3%増の20,481百万円、官公庁が同15.1%減の2,853百万円、一般民間が同40.4%減の12,435百万円だった。前年同期の大型案件の反動で一般民間向けの電気・計装工事や空調・管工事が減少したが、四国電力グループ向けの配電工事や送電・土木工事は順調だった。単体ベースの2026年3月期末時点の繰越工事残高は同7.1%増の60,670百万円で高水準を維持している。

なお2026年3月期中間期の施工事例としては、第一生命京橋キノテラス(東京都、オフィスビル、電気・計装工事)、パティーナ大阪(大阪府、ホテル、電気・計装工事)、ワンルーフレジデンス中野南台(東京都、マンション、空調・管工事)、こころの医療センター五色台(香川県、病院、電気・計装工事及び空調・管工事)、ミロク日章工場(高知県、工場、空調・管工事)、坂出バイオマス発電所(香川県、再エネ発電所、電気・計装工事及び空調・管工事)、吉野川市環境センター(徳島県、ごみ処理施設、電気・計装工事)、関西東部地区フリーフロー用無線設備(滋賀県・京都府・大阪府、交通情報システム、情報通信工事)、松山自動車道 CCTV設備(愛媛県、交通情報システム、情報通信工事)、西条市立東部学校給食センター(愛媛県、給食センター、電気・計装工事及び空調・管工事)、立田線一部増強(高知県、送電設備の鉄塔建替・JV、送電・土木工事)、蔵本藍場線他ケーブル(徳島県、送電設備の地中送電線張替、送電・土木工事)などがある。


自己資本比率が上昇。財務の健全性は良好
3. 財務の状況
財務面で見ると2026年3月期中間期末の資産合計は前期末比7,032百万円減少して92,597百万円となった。主に未成工事支出金が同1,358百万円増加、投資有価証券が同1,583百万円増加した一方で、受取手形・完成工事未収入金等が同6,607百万円減少、関係会社預け金が同3,500百万円減少した。負債合計は同8,896百万円減少して25,843百万円となった。主に支払手形・工事未払金等が同5,902百万円減少、未払法人税等が同729百万円減少した。有利子負債残高(長短借入金、社債)は同134百万減少して5,587百万円となった。純資産合計は同1,863百万円増加して66,753百万円となった。主に退職給付に係る調整累計額が同239百万円減少した一方で、利益剰余金が同1,005百万円増加、その他有価証券評価差額金が同1,005百万円増加した。この結果、自己資本比率は同6.9ポイント上昇して72.0%となった。設備工事業の事業形態では、工事の進捗に伴い期末にかけて売掛債権と買掛債務が同時に増加し、期初から支払いが進むにつれてこれらは縮小する傾向がある。このことから、一般的に中間期末の自己資本比率は前期末に比べて上昇する傾向がみられ、期末にかけて緩やかに低下していくものと認識している。

直近の営業キャッシュ・フローに一部マイナスが見られるが、2025年3月期末については支払手形廃止に伴う過渡的な要因であり、2026年3月中間期末については債権債務の受払のタイミングのズレの影響によるものである。自己資本比率、キャッシュ・フローの状況ともに特に懸念される点はなく、これらを勘案すれば、同社の財務健全性は良好であると弊社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)



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