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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2026/02/09 11:32,
提供元: フィスコ
ヤマノHD Research Memo(2):「美道五原則」を源流とする事業を展開。ヤマノグループの生活文化創造企業
*11:32JST ヤマノHD Research Memo(2):「美道五原則」を源流とする事業を展開。ヤマノグループの生活文化創造企業
■会社概要
1. 会社概要
ヤマノホールディングス<7571>は美容家、実業家、教育者である山野愛子氏が創設したヤマノグループの一角を占める企業である。山野愛子氏は、日本における近代美容の礎を築いた人物として知られ、「美道五原則(髪・顔・装い・精神美・健康美)」を理念に、美容を軸とした生活文化と教育の発展に寄与してきた。ヤマノグループには、同社のほか、山野美容芸術短期大学、山野美容専門学校、山野日本語学校、ヤマノビューティメイトグループなどが属しており、教育・人財育成から実業までを包含する独自のグループ構造を形成している。なお、山野美容芸術短期大学や山野美容専門学校などからは、これまでに累計約24万人の卒業生を輩出し、同グループで教育を受けた人財が、現在も我が国の美容業界の第一線で幅広く活躍している。
同社は、東京都渋谷区代々木に本社を置く東証スタンダード上場企業である。これまで、M&Aや事業統合を活用した多角化戦略を推進し、現在は、複数の生活関連事業を束ねる企業グループとして事業運営を行っている。代表取締役社長は山野義友(やまのよしとも)氏であり、連結従業員数は2025年3月末時点で545名である。
同社の事業ポートフォリオは、コアバリューセグメントとニューバリューセグメントの二層構造で整理できる。コアバリューセグメントは、同社の歴史と理念に深く根差した中核事業群であり、主力となる和装宝飾事業(和装、宝飾、寝装品の小売事業)は、同社が長年取り組んできた伝統的事業領域であり、日本の装い文化や生活様式に価値を見出し、顧客との継続的な関係性を築いてきた分野である。また、美容事業では、ヘアサロンやネイルサロンの運営を通じて、生活者の日常に密着した美容サービスを提供している。これらの事業が同社ブランドの基盤を形成するとともに、安定的な収益源としての役割を担うほか、ライフプラス事業では、直販や健康関連商品の提案・販売を通じて、健康志向の高まりや生活の質向上へのニーズに対応している。一方、ニューバリューセグメントは、社会環境や消費行動の変化を背景に、新たな顧客価値の創出を目的として展開されている事業群である。学習塾運営を中心とする教育事業、古着買取・販売を行うリユース事業、写真スタジオや衣装レンタルを手がけるフォト事業など、人生の節目やライフイベントに関わる分野へと事業領域を拡張している。
同社は、コアバリューセグメントによって事業の安定性とブランド価値を維持しつつ、ニューバリューセグメントを通じて新たな成長機会と顧客接点の創出を図ることで、生活文化企業としての進化を志向している点に特徴がある。
2. 沿革
同社は1909年創業という100年超の歴史を有する企業であるが、創業以来、生活者の暮らしに寄り添う事業を基軸として、時代環境の変化に応じた業態転換と事業拡張を重ねてきた。1987年2月には、ミネベア(株)(現 ミネベアミツミ<6479>)より訪問販売事業を承継するかたちで法人として再編され、その後、1994年にヤマノグループ入りを経て株式上場を果たした。
(1) ヤマノグループ入り前
1909年〜1994年は、生活者密着型事業の形成と法人基盤の確立期と言える。同社の起源は1909年の森田ふとん店創業に遡り、寝装品を中心とした生活必需品販売を祖業として発展してきた。1970年代以降は法人化を進め、1979年には第三者割当増資によりミネベアグループ入りし、1986年にはミネベアに吸収合併されるなど、資本関係の変遷を経験した。
1987年には、かねもり(株)を新たに設立し、ミネベアから訪問販売事業を分離承継することで、再び独立した事業主体としての基盤を確立した。この段階の同社は、まだ多角的な企業グループではなく、訪問販売を軸とする生活者密着型事業者としての性格が強かった。
(2) ヤマノグループ入り後
1994年〜2010年代前半にかけてはコアバリューの拡張期(M&Aによる事業ポートフォリオ形成期)と言える。1994年のヤマノグループ入りは、同社の企業史における決定的な転換点である。以降の同社の歩みは、事業承継型M&Aを主たる手段とした事業ポートフォリオマネジメントの歴史であった。1998年の(株)きもの京都の和装専門店チェーン事業譲受を皮切りに、和装、宝飾、アパレル、美容といった「美と装い」を軸とするコアバリュー領域でのM&Aを集中的に実行している。
2000年代前半には、(株)丸正、(株)錦、(株)ビ・ゴール、(株)サトウダイヤモンドチェーン、堀田産業(株)などの買収を通じて、和装・宝飾分野の事業基盤を急速に拡張した。また、美容分野においても(株)ビューティ多賀志の取得や(株)ビューティプラザ設立を通じ、サロン事業をグループの柱の1つへと育成した。この時期のM&Aは、異業種分散ではなく、ヤマノグループの理念と親和性の高い領域に限定された横展開型拡張であり、コアバリューの量的拡張を目的としていた点に特徴がある。
2010年代後半以降、同社の戦略は明確に次の段階へ移行し、現在に至るまでコアバリューの進化とニューバリューの創出期と言える。スポーツ事業の売却や一部事業の整理に象徴されるように、コアバリュー領域においても「量から質」への転換、すなわち選択と集中を進めた。同時に、従来とは異なる成長機会を求め、教育(学習塾)、リユース(古着)、フォト(写真スタジオ・衣装レンタル)といったニューバリュー領域へのM&Aを本格化させている。
これらの事業は、和装や美容と直接的な補完関係にあるわけではないが、生活者のライフステージや人生の節目に関与する点で共通しており、「美と生活文化」という価値軸を拡張する試みと位置付けられる。長年にわたり蓄積してきた事業承継型M&AとPMIの経験があるからこそ、同社は新領域に対しても相対的に低いリスクで探索的投資を行える立場にある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)
《HN》
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