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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2026/05/19 12:08,
提供元: フィスコ
ゼンムテック Research Memo(8):SaaS型ソリューションへの転換を進める
*12:08JST ゼンムテック Research Memo(8):SaaS型ソリューションへの転換を進める
■ZenmuTech<338A>の中長期の成長戦略
4. 秘密計算ソリューション「QueryAhead」
秘密計算ソリューションであるQueryAheadの適用領域は幅広く、個別化医療、EVインフラの最適化、金融分野における不正検知、製造・物流の最適化、電力消費の可視化といった分野でのデータ活用が可能である。例えば、金融・不動産分野では不正検知や秘匿マッチング、材料開発分野では企業間のデータ連携によるAI実験モデルの精度向上、製造・物流分野ではサプライチェーン全体の最適化などへの応用が期待されている。また、ヘルスケア分野ではDNAや疾病情報などの個人情報を含むデータを安全に分析することで、創薬や医療サービスの高度化につながる可能性がある。現在、官民含めて複数の具体的なプロジェクトが進められている。政府関連案件では、量子コンピュータ・インフラ領域におけるプライバシーデータの利活用プロジェクトが進められている。民間分野では、マテリアルズ・インフォマティクス分野における先進的なデータ利活用プロジェクトが進行しており、2026〜2027年にかけてのリリースが予定されている。
秘密計算市場のなかでも、同社が採用する「Multi-Party Computing(MPC)」領域は急成長が見込まれており、世界市場規模は2026年に推定520〜540億ドルと、2024年の約3倍に拡大する見通しである。同社の成長戦略の中核は、技術的優位性の確立と市場リーダーシップの獲得である。概念実証(PoC)や受託開発を通じて協業企業の事業化を支援し、将来的にはロイヤリティ収益を得るビジネスモデルの構築を目指している。
(1) 開発・事業方針
同社は、機能強化とビジネス開拓を並行して進めることで事業拡大を図る方針である。重点的な開発領域は、UI/UXの改善、アクセス制御・認証機能の強化、BIツールとの連携、スケーラビリティの向上、AI/機械学習処理の高速化などがある。特に、AI・機械学習分野におけるプライバシーデータ活用の需要拡大を背景に、関連モジュールの開発を拡充するとともに、ビッグデータを高速処理できる秘密計算基盤の高度化を進める。研究開発面では、産総研との協業を深化させ、安全性の担保や最先端技術の導入、学術発信などを通じて国際競争力のあるソリューション開発を推進する。事業面では、国家プロジェクトへの参画で培った知見を活用し、国家安全保障領域を含むデータセキュリティ分野への貢献を進めるとともに、社会実装を通じた市場価値創出により、官民共創によるデータ利活用モデルの確立を目指す。
(2) SaaSソリューション転換
同社は、API接続などにより利用可能な汎用型ソリューションとして、SaaS型のサービスモデルへの転換を進める方針である。従来は、専用環境の構築や複雑なシステム設計が必要であったため、国家プロジェクトなどの労働集約型案件が中心となり、オンプレミス型の提供形態が導入障壁となっていた。そのため、金融や医療などの規制業界への導入が中心となり、クラウドが主流の世界の秘密計算市場の成長を取り込めていないという課題があった。クラウド型サービスへの転換により、潜在市場の拡大が見込まれる。また、無料トライアルから小規模PoC、本番導入へと段階的に利用を拡大するPLG(Product-Led Growth)型の導入プロセスを構築することで、顧客獲得効率の向上を目指す。これにより、グローバル規模での利用拡大を視野に入れ、2〜3年後を目途にARR(年間経常収益)の積み上げによる安定的な収益基盤の構築を目指す。
海外展開及びM&Aを活用したインオーガニック成長を本格化
5. 海外展開
同社は、海外企業の存在感が大きい情報セキュリティ市場において、秘密計算ソリューションを中心とした海外展開を進めている。特に北米、欧州、APAC地域を重点エリアと位置付け、市場調査や展示会への出展などを通じた事業機会の探索を進めている。2026年から米国及びAPACでの提携パートナー開拓を本格化し、事業化に向けた基盤構築を進める。北米では2022年以降継続出展しているスタートアップイベント「TechCrunch Disrupt」などを通じて市場調査とパートナー探索を進める。欧州では個人情報保護規制(GDPR)が厳格であることから、データを秘匿化したまま活用できる秘密計算技術での需要拡大が期待される。APAC地域では、政府による情報保護統制が進んでおり、地域統括が集積するシンガポールへの進出を検討している。また、日系企業が多いタイでは国内での取引実績を生かた事業展開を検討している。台湾ではAI展示会「WAVE」への出展などを通じて現地企業との接点拡大を図っている。海外展開においては、2〜3年後を目途に収益への貢献を目指している。
6. M&A
同社は、インオーガニック成長の一環として、技術の拡張を目的としたM&Aも視野に入れ、事業領域の拡大と成長の加速を目指す考えである。対象領域としては、秘密分散や秘密計算などの関連技術を持つ企業のほか、同社製品を補完するセキュリティ技術やソフトウェアを持つ企業などが候補となる。これにより、データセキュリティ分野におけるサービスラインナップの拡充を図る。
中長期的な事業領域拡大に向け、高度な人材の採用を強化
7. 人材投資
同社は、持続的な成長に向けて「人材投資」を重要な経営戦略の柱として位置付けており、上場時の調達資金は主に人材投資に充当する。採用費及び人件費は今後段階的に拡大する方針で、2025年12月期の45百万円から、2026年12月期には134百万円、2027年12月期には226百万円を計画している。特に、ZENMU EngineやQueryAheadのOEMサービスの拡充による中長期での事業領域の拡大を見据え、数学・暗号理論等に精通したエンジニアや、適用領域の市場を熟知し事業企画・新規ビジネス立上げの経験を持つ高度な人材の確保に注力する。採用は独自性や技術的優位性を背景に順調に進んでいるが、今後は大学の研究室との連携やインターンシップの活用も検討している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)
《HN》
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