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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2026/06/11 13:03,
提供元: フィスコ
坪田ラボ Research Memo(3):サイエンスとコマーシャリゼーションに強み
*13:03JST 坪田ラボ Research Memo(3):サイエンスとコマーシャリゼーションに強み
■会社概要
2. ビジネスモデルと強み
坪田ラボ<4890>は、“VISIONary INNOVATIONで未来をごきげんにする”をミッションとし、「近視、ドライアイ、老眼、脳疾患に画期的なイノベーションを起こす」を目標に掲げ、事業活動を推進している。世界的な近視の激増、ドライアイによるQOL(Quality of Life)の低下、老眼の予防治療への強いニーズといった社会課題を解決していくことで企業価値の増大を目指している。
(1) ビジネスモデル
ビジネスモデルとしては、慶應義塾大学や他のアカデミア、外部委託研究員との探索的な基礎研究から創出した開発候補品について、知財化を進めるとともに共同開発パートナーを探索し、開発・販売契約等を締結することで契約一時金やマイルストーン収入を獲得、また開発候補品の販売開始以降は販売高に応じたロイヤリティ収入を獲得するビジネスモデルとなる。開発候補品には臨床試験を実施して規制当局からの製造販売承認が必要な医薬品・医療機器のほか、これら承認が不要なコンシューマー製品がある。現状、同社の売上高の大半は契約一時金やマイルストーン収入で占められているため、これらの進捗状況が売上高の変動要因となるが、開発候補品の販売が本格化し売上規模が拡大すれば、ロイヤリティ収入の増大により収益の安定性も向上する。たとえば、パートナー契約先で販売する製品の全売上高を2,000億円程度と算出し、その10%となる200億円を同社が対価として獲得する契約となった場合、そこから契約一時金やマイルストーン収入、ロイヤリティ率などを設定していくことになる(これらの比率は契約ごとに異なる)。
現状、医薬品・医療機器で承認された開発候補品はないが、ロート製薬と2024年3月に知的財産権実施許諾契約を締結したTLM-018に関連した子ども向け目薬「ロートアイビジョン」が2026年3月に発売されている。また、コモディティ製品の商品化実績としては、ロート製薬のサプリメント「ロートクリアビジョンジュニア」や、(株)ジンズのバイオレットライト透過型メガネ「JINS VIOLET+」及び目周りの保湿効果を高めるメガネフレーム「JINS PROTECT MOIST」、NEC(日本電気<6701>)のノートPC(バイオレットライト照射)「LAVIE限定モデル」(2023年発売)などがあり、現在もバイオレットライト技術をコアとして様々な製品開発が進められている。特にクロセチンを含むロート製薬のサプリメント『ロートV5 ビジョンパワー』は、「遠く(遠点)」のピントに関わるものとしては、初の機能性表示食品として2026年2月に届出られた。2025年11月には化粧品の輸入販売も開始しており、ヘルスケア領域におけるコンシューマー製品の拡大を通じて、収益の安定性向上を目指す。
(2) 同社の強み
同社の強みの1つとして、レギュラトリーサイエンスの知見を開発戦略に活用できる体制を有していることが挙げられる。レギュラトリーサイエンスとは、医療分野の研究開発の成果の実用化に際し、その品質や有効性、安全性を科学的知見に基づき適正かつ迅速に予測、評価及び判断することに関する科学という意味であり、研究開発を進めるにあたっての科学的方策や試験法の開発、さらにはデータ作成・評価を行う能力とも言える。これらは論文化や特許取得などの知財戦略、導出を行う際に重要なポイントとなる。
知財戦略の面では、2026年3月末時点で特許出願件数が65件となっており、このうち32件が登録済みとなっている。出願件数の内訳は、36件が近視領域、14件がドライアイ領域と両分野で大半を占めており、老眼領域や脳疾患領域などでも特許出願を行っている。
研究体制の面では現在、慶應義塾大学の2つの研究室(医学部、理工学部殿町キャンパス)と連携し、共同研究を進めているほか、必要なスキルを有した研究員を業務委託という形で適宜確保しながら研究を推進する体制を構築している。2026年3月末時点で研究開発人員は正社員で10名(前期比4名増)だが、業務委託による外部研究者を含めると49名(同6名増)の規模となっている。業務委託体制とすることで、研究開発コストの流動化や多様な研究テーマの創出が可能になるといったメリットがある。同社は2023年から「つぼラボ学会」を年1回開催している。外部の研究者、関係者がNDA(秘密保持契約)を締結したうえで一堂に会し、各研究者が研究内容を発表・議論することで、新たなパイプライン創出の機会としている。2025年10月に開催した学会には約60名の研究員が参加し、最新の研究テーマなどについて活発な意見交換が行われた。
もう1つの強みとして、コマーシャリゼーションに強い点が挙げられる。ここで言うコマーシャリゼーションとは、開発候補品を早期契約(開発契約及び共同研究)に結び付けることを指す。同社は、2019年以降に8社※と開発契約を締結しており、共同研究契約等(受託研究、委託研究、業務委託含む)については20社・団体以上と行っている。公的機関の助成金プロジェクトも、2024年3月期に3件(バイオレットライトを用いた網膜色素変性、月経不順、老齢犬の認知機能の改善)、2026年3月期に1件(高齢者のウェルネス向上を目的としたフリッカーLED老眼鏡の開発)が採択された。これらは、同社が早期契約に結び付く知財戦略に加えて、非臨床データや臨床研究データを基にした論文発表によって、作用機序も含めてエビデンスが十分に網羅されていることが要因と考えられる。同社ではこの強みを生かして、今後も早期導出によって開発を進展させ、医療機器・医薬品の販売によりロイヤリティ収入を獲得していくほか、希少疾患の場合には独自で第2相臨床試験まで開発後に導出するなど、パイプラインに応じた導出戦略により企業価値の最大化を目指す。
※ ジンズホールディングス、住友ファーマ<4506>、ロート製薬、マルホ、Laboratoires Thea(仏)、Twenty Twenty Therapeutics(米)、Shenyang Xingqi Pharmaceutical(中国)、Beijing Yijie Pharmaceutical Technology(中国)の8社。
2026年3月にブラジルで開催された第48回SIMASP(モアシール・アルヴァロ国際シンポジウム)では、近視やドライアイに関する長年の研究実績が認められ、ブラジル眼科学会で最高峰の権威を誇る名誉ある賞の1つである「The 2026 Moacyr Alvaro Gold Medal」を坪田氏が受賞するなど、海外においても同社の取り組みは高く評価されている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《HN》
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