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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2026/06/23 13:09, 提供元: フィスコ

飯野海運 Research Memo(9):事業ポートフォリオの深化と稼ぐ力の底上げを推進

*13:09JST 飯野海運 Research Memo(9):事業ポートフォリオの深化と稼ぐ力の底上げを推進
■飯野海運<9119>の成長戦略・サステナビリティ経営

2. 重点戦略
新中期経営計画の重点戦略として、事業戦略では成長に導く経営資源配分によって事業ポートフォリオを深化させ、稼ぐ力の底上げを図る。投資額については前中期経営計画から倍増の2,000億円(成長・新規事業650億円、主力事業500億円、安定・成熟事業450億円、戦略投資400億円)を計画している。安定・成熟事業で安定資産を積み上げながら、成長・新規事業及び主力事業への投資に転換するリバランスを行うことによって事業ポートフォリオ経営の深化を図る。また新規事業や既存事業の周辺領域へ参入する戦略投資によって収益基盤を拡充する。

具体的には、輸送需要の増加が見込まれる外航ガス船を2030年以降の主力事業に成長させるほか、主力事業では同社の差別化の象徴であるケミカル船の大型ステンレス船隊を中心に運航船隊の拡充を進める。安定・成熟事業では長期契約を基盤として安定収益源の維持・拡大を図る。また400億円の戦略投資枠を設定することで、M&A・アライアンスも活用して既存事業の拡張や既存事業とのシナジー効果が見込まれる周辺事業・新規領域へ参入し、収益基盤のさらなる強化・拡充を図る。不動産業では外部パートナーとの協業を視野に入れつつ、国内外の不動産開発や投資機会を取り込み、バリューアップとキャピタルゲインの実現を目指す。なお、前計画で強化された財務基盤のもと、2032年3月期から2036年3月期の5年間においても2,000億円以上の投資を行い、主に成長・新規事業および主力事業へ配分し、資本効率と収益性を向上させつつ安定資産を積み上げる方針だ。

財務資本戦略では、規律ある成長投資の実行、資本コストの低減、持続的な株主還元の3つのバランスを最適化し、中長期の企業価値最大化を目指す。新中期経営計画期間では、前中期経営計画で強化された財務体質を基盤として、政策保有株式を含む資産売却収入や、保有不動産の価値も考慮した積極的な財務レバレッジの活用により、資本コストを上回る成長投資を実行する。なお政策保有株式の縮減については、2031年3月期までに政策保有株式の純資産比率を10%未満とし、70億円の縮減を行う方針である。

脱炭素化戦略では、2031年3月期のGHG削減目標として、海運業では2021年3月期比20%削減、不動産業では2014年3月期比75%削減を掲げている。2050年ネットゼロ目標を達成するロードマップを策定し、海運業では燃料転換や燃費改善技術の導入、AIなどを活用した航海最適化、次世代燃料船への投資促進など、環境対応(脱炭素化)への取り組みを推進することで競争力を強化する。なお国際海事機関(IMO)におけるGHG排出削減の中期対策の枠組み策定が延期され、見通しも不明瞭のため、新中期経営計画のGHG削減目標は総量ベースではなく、輸送トンマイルベースでの原単位目標を前中期経営計画から維持した。不動産業では非化石証書付き電力の調達拡大や再エネ設備の導入、環境認証の取得・維持を進めることでGHG排出量の着実な削減を図る。

また重点戦略を着実に実行するための土台となる事業基盤戦略として、人的資本経営の推進、資産管理水準の高度化、新技術採用による差別化と最適化、適切なガバナンス体制の深度化を推進する。人的資本経営の推進では、事業環境の変化に対応した組織・人材の変革を進めることで中長期的な成長基盤を構築し、「稼ぐ力」をさらに向上させる。なお人材戦略については定性的な評価にとどまらず、エンゲージメントサーベイの結果や海上・陸上間の人材交流の進展状況、総合職に占める女性比率の増加といった指標を用いて定量的に管理・モニタリングする。資産管理水準の高度化では、船舶や不動産といった重要資産について「安全・安心」と「稼ぐ力」を両立させた高品質な管理体制を構築し、コスト管理やリスク管理の精度を高める。新技術採用による差別化と最適化では、デジタル基盤整備とデータ活用により業務プロセスの最適化を進める。また外部との連携で新技術を取り込みながら、高品質な運航・運営やサービス面での差別化につなげる。適切なガバナンス体制の深度化では、取締役会機能のさらなる強化、中長期的な企業価値向上に資する報酬制度の高度化、資本市場とのコミュニケーション充実、リスク管理体制の強化などに取り組む。こうした事業基盤戦略を推進するため管理部門の組織体制を変更する。

なおDXの推進では2023年6月にDX推進部を設置した。新中期経営計画では外部との連携で新技術を取り込み差別化を図るとともに、データとAIで業務を最適化し、迅速な意思決定と競争力強化を実現する考えである。また新規事業への展開も視野に入れた直近のM&A・アライアンスとして、スタートアップへの投資では2023年6月に海外2社の海事ベンチャーキャピタル(VC)に出資した。再生可能エネルギー関連では石油資源開発<1662>(以下、JAPEX)と、2024年12月に太陽光発電所の共同事業に関する基本合意書を締結(JAPEXの開発支援を受けて同社100%出資の合同会社が保有)し、2025年12月に第1号案件として秋田申川太陽光発電所(秋田県男鹿市)が運転開始した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)


《HN》

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