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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2026/06/26 12:32,
提供元: フィスコ
動物高度医療 Research Memo(2):地域の「かかりつけの動物病院」との分業で高度な動物医療を実現
*12:32JST 動物高度医療 Research Memo(2):地域の「かかりつけの動物病院」との分業で高度な動物医療を実現
■事業概要
1. 事業概要
日本動物高度医療センター<6039>の二次診療サービスは、ペットの飼い主にとっての「かかりつけの動物病院」となる地域の動物病院(一次診療施設)からの完全紹介により、人用医療と同じCT、MRI、放射線治療器といった高度医療設備・機器を備え、ペットの専門疾患に関する研究・臨床を行ってきた獣医師が中心となり、一次診療施設では対処が困難な重度の患者動物に対して高度な専門医療(二次診療)を行う。ワクチン接種や予防などの一次診療は行わない。また診療後のケアは紹介元の一次診療施設に要請する。
ペットの家族化、長寿命化、疾病多様化などで、飼い主の間に「ペットにも人間と同じように高度な医療を受けさせたい」という、動物医療に対する多様化・高度化ニーズが高まるなか、一次診療施設である全国各地の「かかりつけの動物病院」との分業によって、高度で充実した動物医療を実現している。2009年3月には、民間では初めて「小動物臨床研修診療施設」として農林水産大臣から指定を受けた。動物医療業界において臨床や教育現場で活躍する人材教育の環境を整え、動物医療技術の向上を担う臨床研究にチャレンジするなど、教育・研究の実践の場として高度医療を提供することで広く社会に貢献することを目指している。
子会社キャミックの画像診断サービスは、一次診療施設から画像診断だけを希望する飼い主の紹介を受け、完全紹介制でMRIやCTを用いて画像の撮影を行い、所見を付けて一次診療施設に報告している。基本的なスタンスは一次診療施設のサポートと位置付けている。子会社テルコムは医療機器メーカーとして、動物の在宅医療に必要な「酸素ハウス(酸素濃縮器、ケージ、酸素濃度計等のセット)」を中心に、動物用医療機器・健康管理機器のレンタル・販売を全国展開している。
なお2026年3月期の売上高構成比は、二次診療サービス(同社)が72.9%、画像診断サービス(キャミック)が10.4%、動物用医療機器・健康管理機器のレンタル・販売(テルコム)が16.4%となった。
2. 特徴・強みと収益モデル
同社はペット向け高度医療専門の総合動物病院として、高度かつ総合的な獣医療を提供していることが特徴だ。動物の生命もしくは生活の質に大きく関わる分野を幅広くカバーする専門診療科及び最先端の医療設備・機器を備えて、併発する分野の疾患や鑑別が困難な症状の疾患の場合には、複数の診療科でチームを編成して診療を実施する。さらなる診療体制強化・診療品質向上を図るため、高度専門人材の採用・育成の強化、最新医療設備への積極投資に加え、診療プロセスの再構築や次世代型電子カルテシステムの開発などを推進している。
収益は飼い主から受け取る診療費が柱である。一次診療施設との間で紹介料は発生しない。獣医師の診療報酬は自由診療であり、それぞれの動物病院が個々に設定している。このため動物病院よって診療報酬に格差がある。同社の場合は設備投資の償却や人件費などを考慮して適正な診療報酬を設定している。なお診療内容は飼い主の希望に沿って決められる。手術を行うかどうかについては、獣医師は助言を行うのみで、最終的には飼い主が判断する。このため手術数は必ずしも初診数や総診療数に連動しない。なお四半期別売上高の季節要因として、第4四半期の売上高は第3四半期に比べて減少する傾向がある。これは、1月の一次診療施設からの紹介数が年始の休業に伴って減少する傾向があるほか、2月の歴日数が少ないためである。
3. 主要KPI
診療数は一次診療施設からの紹介数によるため、連携病院数の増加が初診数(新規に受け入れた症例数)や総診療数(初診数と再診数の合計)の増加、すなわち収益の拡大につながる。このため同社は、連携病院数と初診数を重要な経営指標と位置付けている。同社は学会発表やセミナー開催などの学術活動を継続的に推進して連携病院の増加を図っており、連携病院数は全国の小動物診療施設開設届出数を上回るペースで増加基調となっている。同社資料によると、連携病院数は2010年3月期末の2,248施設から2026年3月期末の4,779施設へ約2.1倍に増加し、連携病院比率(小動物診療施設開設届出数を基に同社算出)は同22.2%から同36.6%へ上昇した。病院の新規開院に伴って診療体制が強化されるため、連携病院数も病院の新規開院時(2011年12月名古屋病院、2018年1月東京病院、2023年6月大阪病院)に大幅に増加する傾向もある。
また初診数(紹介数)も二次診療ニーズ増加、診療受入能力拡大、連携病院数の増加等に伴って増加基調である。同社資料によると、初診数は2019年3月期の6,032件から順調に増加し、2025年3月期には10,031件となり、初めて1万件を突破した。さらに2026年3月期は10,953件となった。
4. リスク要因
リスク要因としては、一次診療施設からの紹介への依存、ペット飼育頭数減少や競合激化など事業環境の変化、診療サービスの過誤、獣医師法や獣医療法といった法令改正による規制強化、人材の採用・育成などがある。競合リスクに関しては、一次診療施設の動物病院数は増加傾向だが、同社は一次診療施設と直接競合せず、一次診療施設と連携・分業するビジネスモデルである。また、患者動物に最適な検査・診断・治療を迅速に提供できる高度医療専門の総合病院への参入障壁は高いため、一部で参入が見られるものの、比較的市場競合リスクは小さいと考えられる。
5. 高度専門人材採用・育成を推進
人材の採用・育成に関しては、大学・専門学校・各種団体との関係性・人脈形成による採用強化に加えて、卒後臨床研修制度(2008年4月開始)を通じた獣医師育成も行っている。こうした活動の結果、二次診療の獣医師数(同社単体ベース)は2022年3月期末68名、2023年3月期末69名、2024年3月期末82名、2025年3月期末91名、2026年3月期末100名と順調に増加している。また愛玩動物看護師法が2019年6月に成立・公布された。動物看護師を国家資格化して、人間医療と同様に採血や投薬などの医療行為を行えるようにした法律である。動物看護師活用による獣医師の負担軽減や業務の効率化につながることが期待されている。また2024年3月には従業員向けインセンティブプラン「株式給付信託(J-ESOP)」を導入、2025年10月には業界における先進的な処遇を確立するため新人事制度の運用を開始した。同社は今後も業容拡大に向けて、獣医師や動物看護師を中心に採用・育成を強化し、人的資本充実を進める方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
《HN》
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