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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2026/07/01 13:07,
提供元: フィスコ
クエスト Research Memo(7):トップラインは巡航速度、収益構造の転換が課題
*13:07JST クエスト Research Memo(7):トップラインは巡航速度、収益構造の転換が課題
■中長期の成長戦略
1. Quest Vision 2030と第2期中期経営計画
クエスト<2332>は中長期ビジョン「Quest Vision 2030」の下、持続的な成長と企業価値向上を目指している。現在は第2期中期経営計画(2025年3月期〜2027年3月期)の最終年度にあたり、売上高18,300百万円、営業利益1,260百万円の達成を目標としている。2026年3月期は売上高17,807百万円、営業利益1,091百万円と過去最高業績を更新したものの、経営陣は中期経営計画の進捗について「売上は伸長したが利益は未達で55〜60点程度」と評価している。今後は売上拡大のみならず、利益率改善を重視した経営へシフトしていく方針である。
2. 重点実施事項
(1) 収益構造転換による利益率改善
同社は現在、利益率の改善を経営上の最重要課題と位置付けている。その実現に向けた施策として、ソリューションビジネスの本格拡大、価格転嫁の推進、人材・技術投資の強化を進めている。従来の労働集約型ビジネスモデルから、高付加価値サービスを中心とする収益モデルへの転換を進めている。特に価格転嫁については、適正価格による受注拡大を推進しており、人材不足が深刻化するIT業界においても収益性を維持・向上させる体制づくりを進めている。
(2) ソリューション事業の拡大
ソリューション事業は、同社の中長期成長戦略の中核を担う事業として位置付けられている。ソリューション売上構成比は既に約22%まで上昇しており、粗利率も従来型サービスと比較して改善傾向にある。これまでは育成段階にあったが、現在は収益化のめどが見え始めており、利益率向上への貢献が期待される段階へ移行している。生成AIソリューション「AI Studio」を中心に、PoC(概念実証)から本格導入へと展開するビジネスモデルを構築している。AI Studioでは、PDF、Excel、PowerPoint、画像など散財するデータをナレッジとして蓄積することで業務DXを支援している。加えて、AI技術を有する他社と協業し、より高付加価値なサービスの提供実績を着実に積み上げている。
(3) セプトとのシナジー創出
2025年に子会社化したセプトについては、PMIがおおむね完了し、現在はシナジー創出フェーズへ移行している。セプトが保有していた低採算案件を縮小し、クエスト案件へ人材を優先的にシフトすることで、セプト単体の利益率改善とグループ全体の収益力向上を図っている。セプトからクエスト案件への人材投入は継続的に進められており、グループ内リソースの最適配置による効率化が進展している。セプトは既に安定的な黒字体質を確立しており、今後は利益面での貢献拡大が期待される。
(4) 半導体を中心とした成長市場の開拓
同社の重点強化領域のなかでも、半導体製造分野は最も高い成長を示している。AI需要拡大を背景としたメモリ需要の増加に加え、国内半導体メーカーによる投資拡大が追い風となっている。同社はキオクシアホールディングス、ソニーグループ、東芝などとの取引実績を有しており、四日市拠点の拡張や北上拠点の新設などを通じて需要取り込みを強化している。一方で、経営陣は半導体市場特有の変動リスクも認識しており、金融、情報通信、公共などを含めた顧客産業ポートフォリオを維持することで、特定業界への依存を回避する方針である。
3. 次期中期経営計画の方向性
2027年3月期をもって第2期中期経営計画は終了するが、次期中期経営計画では高付加価値領域へのシフトがさらに加速すると考えられる。エンジニアリングチェーンやセキュリティを先行加速領域と位置付けるほか、データエンジニアリング、ERP・コンサルティングなどを中期育成領域として強化する方針である。また、生成AIを活用したソリューション事業についても継続的な投資を行う考えである。今後は従来の受託型ITサービス企業から、顧客の業務改革やデータ活用を支援する高付加価値ソリューション企業への進化が期待される。
■株主還元策
DOE4%以上、配当性向35%以上を前提に、右肩上がりの配当を目指す方針
同社は、株主に対する利益還元を経営上の重要課題の1つとして位置付けている。事業環境の変化に柔軟に対応できる財務基盤の維持と成長投資のための内部留保とのバランスを図りながら、継続的かつ安定的な株主還元を実施することを基本方針としている。
2026年3月期の期末配当については、好調な業績推移や今後の事業展開を総合的に勘案して2026年5月に増配を発表し、当初予想の1株当たり55円から3円増額して58円とした。また、2027年3月期については、さらに3円増配となる1株当たり61円の配当を予定している。
同社は「右肩上がりの配当」を重視する方針を示しており、DOE(株主資本配当率)4%以上、配当性向35%以上を目安として安定的な増配を目指している。また、自己株式取得についても資本効率や市場環境を勘案しながら機動的に実施する考えである。政策保有株式の縮減も継続して進めており、資本コストを意識した経営と株主還元の強化を両立する方針である。
弊社では、同社の財務体質は自己資本比率70%超と極めて健全であり、今後も成長投資と株主還元の両立が可能であると考えている。課題とされる収益構造の転換やソリューション事業の拡大が進展すれば、さらなる利益成長と株主還元拡充の余地は大きいと見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)
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