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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2026/10/30 12:43,
提供元: フィスコ
グリッド Research Memo(3):計画最適化AIと蓄電所開発の2事業を展開
*12:43JST グリッド Research Memo(3):計画最適化AIと蓄電所開発の2事業を展開
■事業内容
1. 事業概要
グリッド<5582>は、「AI事業」と「インフラアセット事業」の2事業を展開している。AI事業では、AIエンジンの開発に加え、AIを組み込んだ業務システムの構築、運用・保守、追加開発までを提供する。一方、インフラアセット事業では、系統用蓄電所の設計・開発・売却や電力系統への接続支援を手掛けている。
蓄電所開発は、2025年6月期までAI事業のエネルギーマネジメントドメインに含まれていたが、2026年6月期に関連売上高が全社売上高の20%を超えたことから、事業上の重要性が高まったと判断し、「インフラアセット事業」として独立させた。
2026年6月期のセグメント別売上高は、AI事業が2,362百万円(売上構成比75.8%)、インフラアセット事業が756百万円(24.2%)となった。セグメント別営業利益は、AI事業が848百万円(セグメント営業利益構成比89.4%)、インフラアセット事業が100百万円(同10.6%)であった。
AI事業はフロー収益とストック収益を組み合わせた収益モデル
2. AI事業
AI事業では、電力、海運、鉄道、物流、製造などの社会インフラ分野の企業に対し、AI技術や数理最適化技術を活用して、電力需給、配船、運行、生産などの計画業務の高度化・自動化を支援している。
社会インフラ分野では、設備の稼働条件、人的制約、安全基準、需給変動などを同時に考慮しながら計画を立案する必要がある。近年は、人材不足や脱炭素化、再生可能エネルギーの普及などを背景に業務の複雑化が進んでおり、同社はAIを活用して安定供給と収益性向上の両立に貢献している。
(1)計画最適化を支えるAI・数理最適化基盤
同社の中核技術は「数理最適化」である。生成AIを含む機械学習が蓄積データから傾向を学習し、予測や回答を生成するのに対し、数理最適化は目的、制約条件、選択肢を数式化し、条件を満たす最適な計画を導き出す。すなわち、「何が起きるか」を予測するだけでなく、「何をすべきか」という意思決定を支援する技術である。この数理最適化を軸に、機械学習による予測やデジタルツイン※によるシミュレーションを組み合わせ、社会インフラ向けの計画最適化基盤「ReNom」を開発した。
※ デジタルツインとは、現実空間から得られる情報を基に、設備や運用状況などをデジタル空間上に再現し、様々な条件下での動きをシミュレーションする技術。同社では顧客のビジネス環境や業務環境全体をデジタル空間上に再現する技術を指す。
ReNomを基盤に、業界ごとの計画最適化機能を実装したサービス群が「ReNom Apps」である。電力向けの「ReNom Power」、海運向けの「ReNom VESSEL」、サプライチェーン向けの「ReNom SCM」、鉄道向けの「ReNom Railway」などで構成される。各サービスには、案件を通じて蓄積した共通機能と顧客固有の制約条件に対応する個別機能を組み込んでおり、共通機能を活用することで開発効率の向上と開発期間の短縮を実現している。
(2)社会インフラ企業を中心とした顧客基盤
顧客基盤は、電力、海運、鉄道、物流などの社会インフラ分野を中心に形成されている。2026年6月期のAI事業売上高に占めるドメイン別構成比は、電力59.6%、製造・運輸20.2%、都市・交通17.0%、その他3.2%となった。このうち、電力ドメインの売上高は1,407百万円に達し、AI事業売上高2,362百万円の約6割を占めている。
創業以来、電力分野を中心に事業を展開してきたため、現時点では電力ドメインへの依存度が高い。電力ドメインでは送配電分野への展開もあり順調な成長を見込む一方で、製造・運輸ドメインでは海運中心から自動車や航空への横展開の進展、都市・交通ドメインでは鉄道分野の進展が見込まれ、中期的には売上構成の分散が進むと見られる。
顧客獲得では、プレスリリース、既存顧客からの紹介、ウェビナー、展示会などを通じたプル型営業と、潜在的なニーズを捉えて個別提案するプッシュ型営業を組み合わせている。導入後もエンジニアやコンサルティング担当者が顧客業務への理解を深め、新たな計画業務への導入や機能追加によるアップセル、他部門や周辺業務へのクロスセルを推進している。こうした継続的な提案が顧客との関係深化につながり、追加開発や運用・保守案件の拡大を支えている。
(3)事業モデル
サービス提供プロセスは、「AI開発」「システム開発」「運用・サポート」の3段階で構成される。AI開発とシステム開発は、案件の進捗に応じて売上高を計上するフロー型収益、導入後の運用・サポートは継続的なストック型収益となる。2026年6月期のAI事業におけるストック型売上比率は27.1%と、前期の25.5%から1.6ポイント上昇した。
AI開発では、顧客固有の設備条件や業務上の制約を反映したモデルを構築し、システム開発では、それらのAIモデルを既存システムや業務アプリケーションへ実装する。開発期間は、AI開発がおおむね1年、システム開発が半年から1年程度である。
導入後は、設備構成や業務環境の変化に応じたデータ更新、AIモデルの精度改善、機能追加などを継続的に行う。社会インフラ向けシステムは、市場環境や制度変更への継続的な対応が必要なため長期契約となりやすく、運用・保守を起点に追加開発へ発展するケースも多い。
つまり、同社は特定の計画業務への導入を起点に、顧客企業内の他の計画業務へと適用範囲を広げることで収益機会を拡大している。AI開発やシステム開発によるフロー型収益と、運用・保守によるストック型収益を積み上げながら、顧客単価の向上を図る「ランド・アンド・エクスパンド(Land & Expand)」型の事業モデルといえる。このため、ストック型収益の拡大と追加開発案件の創出が並行して進み、全社売上高(インフラアセット事業を含む)に占めるストック型売上の比率は中長期的に20%程度の水準で推移すると考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正)
《HN》
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