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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2026/11/04 11:07, 提供元: フィスコ

静岡ガス Research Memo(7):都市ガス事業の持続的成長と新たな成長事業で連結経常利益130億円目指す(2)

*11:07JST 静岡ガス Research Memo(7):都市ガス事業の持続的成長と新たな成長事業で連結経常利益130億円目指す(2)
■中長期の成長戦略

3. 中期経営計画の進捗状況

(1)都市ガス事業
都市ガス事業においては、LNG調達力が競争力を大きく左右するが、LNG調達は規模の影響を受けやすい分野であり、他社との連携強化が有効な手段となる。足元では、2026年5月に東京ガスと中長期のLNG売買契約を締結し、2027年から年間5カーゴ(1カーゴ当たり6万〜7万トン相当)のLNGを調達する予定である。また、2026年7月にはPETRONAS LNGとLNG売買契約を締結し、2032年度〜2038年度の7年間で約84万トンのLNGを調達する予定であり、調達ソースの多様化や安定性向上に資することが期待できる。

(2)電力・再エネ事業
電力事業では、電力小売事業が順調に拡大する一方で、収益変動を抑制するために電力の安定的調達が課題となる。静岡ガス<9543>グループでは、子会社の静岡ガス&パワーの富士発電所での自社電源、地域の工場が自社で発電した際の余剰電力、蓄電池等の接続による再エネの最大導入、電力サプライチェーンのレジリエンス強化などの取り組みによって電力の地産地消を推進している。富士発電所においては、最大出力が合計15,600kWのガスエンジン発電設備2基の増設工事(増設後の最大出力は48,210kW)に着手し、2027年度中の運転開始を目指している。自社電源の拡大により、電力の安定的調達及び電力小売事業の収益安定化、アセットトレーディング機能の強化による収益拡大に寄与することが期待できる。

また、再生可能エネルギー分野では、石油資源開発<1662>などと共同出資する田原バイオマス発電所が2025年4月から運転を開始したほか、2025年4月に朝霧バイオガス発電事業の共同出資への参画を公表した。このほか、電力事業における自社調整力の一層の強化や再生可能エネルギーの普及拡大に向けて、2024年に意思決定した特別高圧系統用蓄電池事業が2027年度中の運転開始を予定しているほか、高圧系統用蓄電池事業が2028年4月の運転開始を予定している。

(3)くらしサービス事業
くらしサービス事業におけるハウジング分野は、同社の顧客基盤を活用した成長分野の1つである。2025年7月には、静岡県西部を中心に注文住宅及び建売住宅の設計・施工・販売を展開している建築会社のグッドリビングの全株式を取得した。2026年2月には、静岡県東部を事業エリアとする(株)共同開発と県西部を事業エリアとする(株)共和不動産の、不動産会社2社の全株式を取得した。今後は、既存のハウジング会社とのグループ連携と、さらなるM&Aによる事業拡大により、土地販売から新築、リフォームまでのワンストップサービスを提供して成長を目指す。グループ連携の強化が進めばシナジーも見込める分野であり、今後の事業成長が期待される。

(4)エンジニアリングサービス事業
エンジニアリングサービス事業は、くらしサービス事業と同じく、同社が重視する成長分野の1つである。2026年4月には、静岡県内を中心に多数の太陽光発電所の開発実績を持つスマートブルー(株)への追加出資を行い、連結子会社化した。これにより、再生可能エネルギー電源開発における企画・設計・施工・運営・メンテナンスまでを一貫して推進できる体制を強化し、成長につなげる。また、2026年7月には、静岡県西部・中部地区を中心に公共工事から民間工事まで幅広く手掛ける電気工事会社の(株)暁電工の全株式を取得した。工場を中心とした顧客のユーティリティ(電力・水・ガスなどのインフラ設備)におけるEPC(設備の設計・調達・建設)やO&M(設備の保守・点検)の提供による、トータルエンジニアリング体制の取り組みを加速できるかを含めて、今後の事業成長に注目したい。

(5)海外事業
重視する成長分野のなかでも、海外事業展開では、東南アジア・南アジア・北米を中心として、天然ガスバリューチェーンの上流及び下流分野、再生可能エネルギーなどの案件を複数手掛けている。2024年11月に最終合意に至ったベトナムでの太陽光発電事業では、再生可能エネルギーの開発を手掛けるHoan Loc Viet Joint Stock Companyの関連会社株式25%を取得する形で事業参画した。また2025年5月には、東京ガスグループの米国法人の完全子会社であるTG Eagle Ford Resources LP(以下、TGER)がテキサス州南部のイーグルフォード層などで他社と共同保有する権益のうち、TGERの権益(全体の25%)のすべてを子会社である米国現地法人シズガスアメリカを通して取得した。既に生産実績のある鉱区における権益であり、事業リスクはおおむね限定的と見られる。

このほか、2026年3月には、エネルギー・インフラ分野に特化した世界有数の機関投資会社であるEIGが設立及び運営するLNG事業会社MidOcean Energy(以下、MOE)に対し、EIGが運用するファンドを通じて100百万米ドルを出資すること(このうち62百万米ドルの出資を2026年7月30日に実行)、及びMOEと戦略的パートナーシップを構築することを決定したと公表した。MOEとの協業によって、同社の天然ガスバリューチェーンにおけるアセットトレーディングやアセットオプティマイゼーション機能のさらなる強化が期待できる。

引き続き規模の大きい案件を手掛けることも想定されるため、ノウハウを持つ人材を確保しつつ、事業拡大とリスクのバランスを図ることが重要になる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 古川 聖治)



《HN》

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