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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2025/09/17 16:05,
提供元: フィスコ
巴川コーポ Research Memo(5):2026年3月期は営業増益確保へ(2)
*16:05JST 巴川コーポ Research Memo(5):2026年3月期は営業増益確保へ(2)
■巴川コーポレーション<3878>の今後の見通し
2. セグメント別予想
セグメント別の業績予想は、以下のとおりである。
(1) トナー事業
トナー事業は売上高13,300百万円(2024年7月修正計画比2,000百万円減、前期比7.1%増、以下同順)、営業利益1,080百万円(1,140百万円減、27.2%増)を見込む。トナー需要の伸び悩みが継続し、2024年7月修正計画に対し大幅な減額予想も、前期の生産シェアアップからさらに販売強化で増収を見込む。利益面では前期の貸倒引当金170百万円がなくなるため、実質的には7.2%営業増益予想と、シェアアップのために多少利益率を抑える計画で売上増並の伸びにとどまる見通しになっている。トナーの世界市場は現在の生産トレンドとは対照的に今後も成長する予測が多い。この生産トレンドとの乖離は、主に高付加価値のカラートナーや特殊トナー配合への移行、産業用やパッケージングなどの新たな印刷アプリケーションの登場といった要因がある。同社もこのような環境に対し、特にカラートナーの比率を高めること、また開発品として環境に配慮したトナーの提供を推進する。具体的には低温定着、低消費量トナーなどに注力している。一般的にトナーは、熱や圧力により紙に固着(定着)されるが、この熱が複写機などの装置の消費電力の大部分(約80%)を占め、低い温度で定着できれば使用電力削減に大きな効果がある。プリンターや複写機はZESM(Zero Energy Stand by Mode)などの機能搭載が普通になってきており、低エネルギー定着トナーの拡大などで同事業での付加価値を高めつつ収益拡大を図ると見られる。さらにカーボンニュートラルの考えに基づいた天然由来の樹脂(非石油系樹脂トナー)を使用したトナーや土壌分解しやすいトナーの開発、トナー使用時のVOC(揮発性有機化合物:Volatile Organic Compounds)発生が低く、環境ホルモンの疑いのない樹脂トナーなどの開発・投入でも存在感を増してこよう。
(2) 半導体・ディスプレイ関連事業
半導体・ディスプレイ関連事業は、売上高7,000百万円(2024年7月修正計画比1,700百万円減、前期比7.2%増)、営業利益720百万円(同550百万円減、同10.4%減)予想。2024年7月予想に対し大幅売上未達となっているのは上市後4年以内の新製品売上想定が3,000〜4,000百万円を想定していたものが2,000百万円にとどまる予想に変更しているのが大きい。その中心は半導体関連部品と見られる。これは新型静電チャックの製品化延期(2028年以降に再投入予定)により、静電チャックについては従来の樹脂製静電チャックの売上にとどまると見られるためである。
一方、新製品として期待するのがフレキシブル面状ヒーター「iCas MHE」である。この製品は独自開発のステンレス繊維シートを発熱体として利用している。熱を通すと瞬時に500℃まで加熱が可能で、半導体製造装置部材の加熱したい部分に密着し、効率的に熱を伝える。条件によっては従来のニクロム線ヒーターと比較して約50%以上(同社測定)の省エネ効果が期待できる。さらに通常のニクロム線ヒーターを面状にすると面内に凹凸が発生し面内での発熱が不均一になるが、このシートは均質な面内発熱ができ精密な温度制御が可能なほか、断線リスクも低減できる。グループ会社である三和紙工(株)の縫製技術を活用し、同製品の量産化が始まり、2023年12月にはエッチング装置大手の東京エレクトロン<8035>から「環境パートナー賞」を受賞するなど注目度が高い。また同製品は環境省の「令和7年度環境技術実証事業」における実証対象技術(気候変動対策技術領域)として選定されている。半導体工場の電力使用において加熱は冷却と同程度の22%程度の負荷があるが、同製品は加熱の電力消費量を半減できる可能性がある。加熱ヒーター市場はマントルヒーター(ガラスなどの耐熱繊維で被覆した電熱線を、保温材で包み込んだ加熱・保温装置)として400億円程度とみられる。独自開発製品のため東京エレクトロン以外への拡販も可能である。
なお、半導体関連部品において高性能ヒートシンクは2027年3月期、今回採用見送りの次世代半導体製造装置向け静電チャックは2028年以降に量産化を計画している。高性能ヒートシンク「iCas TCP」は独自の微細金属を流路内に設置し、優れた熱伝達効果を発揮する。具体的には表面積が50〜100倍となる独自金属材料を用い、熱伝達率が従来品の2〜3倍(データは実測値)あるため冷却効率が向上する。これは半導体製造装置のコンパクト化に役立つだけでなく水冷のほか空冷化も可能。装置の流路設計の自由度が上がり、省エネ効果も大きなポイントとなる。さらに工業設備でも利用が見込まれる。半導体の発熱問題により放熱対策が大きな課題となっているだけに、本格量産となれば大きな製品に育つと見られる。一方、次世代静電チャックについてはエッチング装置に多く使われるが、現状はPCやスマートフォンの需要の伸び悩みもあり、新規のフラッシュメモリへの設備投資が遅延し、静電チャック市場も伸び悩んでいる。しかし今後、AIスマホやAIPCの普及、AIデータセンタの推論型では高多層のフラッシュメモリを搭載したSSD需要が爆発的に伸びる可能性がある。フラッシュメモリの多層化によりエッチング装置のマルチチャンバー化が進み、エッチング装置以上の伸びが見込める。さらに高密度化に伴い、静電チャックにはパーティクル発生を低減させる表面加工精度、よりきめの細かいウエハ温度制御技術、長寿命化などが要求される。同社はこれに対応できる製品開発ができていると見られる。時期は遅れるものの、潜在的な成長力が高い製品であり、市場規模が500億円以上あると見られるだけに第9次中期経営計画ではメインの戦略製品となろう。半導体実装用テープは2025年3月期3,630百万円となっているが、半導体製品市場は、2025年度に入り在庫調整が一巡し下期には需要が回復する見通しで、緩やかな拡大が期待される。特に信頼性を求める車載半導体などで引き続きQFN(Quad Flat Non-lead package)などが使用されるとみられ、無人運転やEVなどの普及で車載半導体の搭載数の拡大があれば、改めて売上の伸びが期待される。光学フィルムは減収が見込まれる。利益面では新製品の投入による諸費用の増加が見込まれ、営業利益は減益を余儀なくされよう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
《HN》
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