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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/12/09 11:06, 提供元: フィスコ

HCH Research Memo(6):成長戦略2ndステージは規模拡大と事業構造転換を加速

*11:06JST HCH Research Memo(6):成長戦略2ndステージは規模拡大と事業構造転換を加速
■成長戦略

1. 中長期経営方針
ヒューマンクリエイションホールディングス<7361>は、中長期経営方針に掲げた2030年9月期の計画であるEPS1,000円(2025年1月1日付株式2分割後500円)及びROE30.0%超の実現に向けて、成長戦略2ndステージ(2025年9月期〜2027年9月期)では業容拡大にこだわり、規模拡大と戦略領域への事業構造転換を加速させる方針としている。そして2ndステージ最終年度2027年9月期の計画は、売上高12,000百万円(このうち戦略領域は新規M&Aによる3,000百万円を含めて5,000百万円)としている。先行投資として費用を一時的に積み増すが、3rdステージ(2028年9月期〜2030年9月期)では利益水準と資本効率にこだわり、投資回収とシナジー創出を進める。なおROEについては2024年9月期の33.9%に対して2025年9月期は28.1%に低下した。2ndステージでは費用を積み増すため一時的にROEが低下するものの、3rdステージにおいてROE30.0%超を実現する方針だ。


HCHプラットフォームによりSMB向け拡大

2. 成長戦略2ndステージの基本方針
2ndステージでは戦略領域を成長レバーに事業構造転換を加速させることを基本方針として、ターゲット市場はSMB、提供価値はDXコンサルティングから実装までの提供、提供手法は自社開発のBaaS(Backend as a Service)型HCHプラットフォーム、営業戦略はグループ連携強化・営業力向上及びHCHプラットフォームによるクロスセル促進と強固な顧客基盤構築としている。HCHプラットフォームとは、グループシナジーによる提供価値をプラットフォーム化したものである。ソリューション・インテグレーターとしての価値提供に向けて、SMBの個社ごとにDX及び経営課題を抽出し、最適なプロダクトや必要な機能を効率的に提供できるよう、グループのケイパビリティをプロダクトとしてモジュール化した。

エンタープライズ市場は顧客単価が高いものの、DX化が進んでいるため市場が限定的であるのに対して、SMB市場は一社ごとの規模は小さいものの、DXの取り組み遅れと母集団の大きさから巨大な市場ポテンシャルを秘めている。したがってSMB市場を主たるターゲットに、M&A仲介・コンサルからITコンサル・開発、保守運用・BPOまでグループ内で完結できるワンストップビジネスモデルという強みを活かし、DXコンサルを軸に新規顧客の拡大と戦略領域への事業構造転換を加速させる。


株主還元の基本方針は総還元性向30%以上、2026年9月期大幅増配予想

3. 株主還元策
同社は、株主還元の基本方針を「配当は連続増配を維持」「総還元性向は30%以上を維持」「機動的な自己株式取得などの実施」としている。さらに財務資本戦略の基本方針を「自己資本比率40%以下の維持」として、4四半期連続で基準を超過しないよう自己株式取得などの手段によって資本構成の適正化を随時図っている。また自己資本比率が40%を超過する自己資本については短期的な株主還元の原資とする方針を掲げている。持続的成長に向けた再投資の原資確保を大前提とする一方で、十分な投資機会に恵まれない場合は資金効率の良化を進めるととともに、株主の期待に応えるため資金を追加的な株主還元に振り向ける。

この方針に基づいて2025年9月期の配当は27.00円(期末一括)とした。前期の26.00円(2025年1月1日を効力発生日とする株式2分割に基づき遡及修正)に対して1.00円増配で、配当性向は21.4%となる。また2025年1月6日〜2025年4月14日に自己株式として187,300株を取得しており、これを含む2025年9月期の総還元性向は63.8%となった。「総還元性向は30%以上を維持」という基本方針を一時的に大きく上回ったが、これによって自己資本比率が33.5%に低下し、財務レバレッジが適正化された。そして2026年9月期の配当予想は前期比17.00円増配の44.00円(期末一括)としている。予想配当性向は31.2%となる。


サステナビリティ経営は「人財」を重視

4. サステナビリティ経営
同社はサステナビリティ経営に関して現状は基本方針やマテリアリティを定めていないが、成長に向けて何よりも「人」を一番の財産と考え「人財」と表現し、成果ではなく成果を生み出す行動を重視した人事制度の策定・改善、管理監督者を対象としたマネジメント研修の継続実施、24時間・場所を選ばずスキマ時間での学習が可能な同社グループオリジナルの階層別e-learningカリキュラムや対話を重視した研究会・勉強会の補助、職場環境や待遇の改善など、働きやすい環境づくりを進めている。


事業構造転換加速により利益水準上昇を期待

5. アナリストの視点
同社は、上流工程からでも下流工程からでも顧客の経営課題解決にアプローチできる体制を構築し、顧客の経営課題解決に対して「ボトムアップ型の変革アプローチ」でソリューションを提案・価値提供できることを強みとしている。さらにSMB市場を主たるターゲットとして、M&A仲介・コンサルからITコンサル・開発、保守運用・BPOまでグループ内で完結できるワンストップビジネスモデルを構築した。この点を弊社では評価している。成長戦略2ndステージでは先行投資の影響で一時的に利益成長の鈍化が想定されるものの、売上面は高成長が想定され、特に戦略領域の売上高については2027年9月期の計画5,000百万円を2026年9月期におおむね達成する可能性もあるだろうと弊社では考えている。そして戦略領域の高成長によって事業構造転換が加速し、3rdステージでは利益水準の大幅な上昇が期待できるだろうと注目している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)


《HN》

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