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第7回 オーナー企業への投資はキケン?

2007/07/10

オーナー企業とは、「社長=大株主」である会社のことを指します。上場して いない会社はほとんどがオーナー企業です。では、上場会社はどうかといえば、 実は結構な数のオーナー企業があるのです。ジャスダック、ヘラクレス、マザ ーズなどの新興市場に上場している、創業してから日が浅い企業の多くはオー ナー企業です。

一般的に、上場会社では、所有と経営が分離され、会社の所有者である株主が、 経営者である取締役の業務の遂行をチェックする、いわば「コーポレート・ガ バナンス」の機能が備わっています。そのため、現在の社長が経営者としてふ さわしくない、と株主が判断すれば、役員の改選時に、その社長を再任しなか ったり、場合によっては任期途中で解任することもできるのです。

ところが、オーナー企業では、所有と経営が分離していません。オーナー社長 の一族が株式の過半数を持っているケースも珍しくありません。株式の過半数 を有していれば、社長や他の役員の選任・解任を自分の思うがままに行うこと ができます。したがって、他の株主が、「思い切った改革をしてくれる新社長 をオーナー一族以外から入れてもらいたい」などと思っても、大株主であるオ ーナー一族が首を縦に振らなければ、どうにもならないのです。

そして、せっかく外部から新社長を招聘したとしても、新社長の経営方針が、 創業者であるオーナー一族に受け入れられなければ、あっという間にクビにさ れてしまいます。今年の株主総会では、テン・アローズ(旧シャルレ)の社長 だった、元バレーボール選手の三屋裕子さんが、過半数の株式を握るオーナー 一族から、社長続投を認められず、退陣を余儀なくされました。

このように、オーナー企業の場合は、オーナー一族が株式の多くを握っている ために、他の株主の意見が反映されにくいという特徴があります。そのため、 オーナー社長に権力が集中し、利益を追求するあまりに不正行為に手を染める などの暴走をしても、誰もそれを止めることができない、という危険をはらん でいるのです。

誤解のないように申し上げておきますと、筆者は、別にオーナー企業に投資す るな、と言っているのではありません。もちろん、オーナー企業の中には優良 な会社もたくさんあります。オーナー社長のトップダウンによる強力なリーダ ーシップが良い方向に向かい、業績を年々拡大している、という会社も多いの です。

しかし、残念ながら、オーナー社長が主導したとみられる不正が発覚したため に、業績に大きなマイナスダメージを受けたり、上場廃止になってしまった会 社もいくつもある、というのもまた事実です。

オーナー企業は、オーナー社長の強力なリーダーシップが良い方向に向かえば、 業績も向上し、株価も大きく上昇することが期待できます。その反面、歯車が 一旦悪い方向に向かうと、業績への大きなダメージによる株価の大幅下落、果 てには上場廃止、というリスクも持ち合わせているのです。オーナー企業への 投資は、オーナー企業特有のリスクがあることを理解した上で行うことをお勧 めします。


足立武志
公認会計士、税理士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)
株式会社マーケットチェッカー取締役

1975年生まれ 神奈川県出身 一橋大学商学部経営学科卒業。資産運用に精通した公認会計士として、執筆活 動、セミナー講師等を通じ、個人投資家が資産運用で成功するために必要な知識や情報の提供に努めている。

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