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貨幣発行自由化論 改訂版

フリードリヒ・ハイエク
日経BP
四六変型判 344頁 2020年4月発売
本体 2,400円  税込 2,640円  国内送料無料です。
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競争通貨の理論と実行に関する分析

ビットコイン リブラ、中銀デジタル通貨など<暗号通貨>の時代に蘇る 天才ハイエクの「理想の通貨」論。 以下は、齊藤誠・名古屋大学教授の解説から――。

「こうして書いてくると、勘の鋭い読者は、「あぁ、暗号通貨のことね。フェイスブックだって、通貨を発行しようとする時代だからね」といわれるかもしれない。確かに、暗号通貨(cryptocurrencies)という革新的な金融技術が、ハイエクという天才の頭の中で考えた構想を実現する技術的な基盤を提供する可能性は十分にある。

しかし、ハイエクが「理想の通貨」(これは、ハイエクの言葉ではなく、私の勝手な強調)について突き詰めて考えたことは、ある意味、とても当たり前で、ずいぶんと地味なものであった。そんな通貨は、社会経済にとって大変にありがたいのだけれども、その通貨の発行者にとってそれほど儲かりそうにない代物なのである(もしかすると、持ち出しにさえなるかもしれない)。

それにもかかわらず、私的主体が格好のビジネスチャンスとして独自の暗号通貨を発行しようと競い、主権国家が、国際的な通貨覇権を握ろうと自前の暗号通貨を国際標準にしようと企てるかもしれない。暗号通貨をめぐるさまざまな思惑のために、通貨制度は頑健性を高めるどころか、その脆弱性を強めてしまいかねないのである。

右のような帰結は、「通貨発行における自由な競争によって『理想の通貨』が生み出される」というハイエクの予想と真っ向から反する可能性でもある。それは、ハイエクが間違っていたというわけではない。

ハイエクの構想では、政府の思惑とは独立に通貨制度が実体経済をしっかりと支える仕組みを作り上げることを意図していたが、暗号通貨という金融技術は、通貨制度を実体経済から引き剥がし、仮想空間の最果てへと強引に引き連れていく怖さがあるのである。言い方を換えると、暗号通貨技術は、「理想の通貨」にとって革新的すぎる可能性がある。」

目次

第1章 具体的な提案
第2章 基礎的な原理の説明
第3章 貨幣発行における政府独占の起源
第4章 政府特権の濫用の歴史
第5章 法貨の神秘性
第6章 グレシャムの法則をめぐる混乱
第7章 並行通貨と貿易貨幣
第8章 民間通貨の発行
第9章 発券銀行間の競争
第10章 閑話休題 貨幣の定義について
第11章 競争通貨の価値はコントロールできるか
第12章 どんな通貨が選ばれるのか
第13章 貨幣のどの価値が重要か
第14章 貨幣数量説が無用であることについて
第15章 通貨供給の望ましいあり方
第16章 フリーバンキング
第17章 全面的インフレ、デフレはもはや生じないか
第18章 金融政策はもはや不要かつ存続不能である
第19章 固定相場制より望ましい規律
第20章 国ごとに通貨圏を形成すべきか?
第21章 政府財政と支出への影響
第22章 移行期に検討すべきこと
第23章 国家からの保護
第24章 長期的展望
第25章 結論 解説 齊藤誠

著者紹介

フリードリヒ・ハイエク (Friedrich Hayek)
一八九九〜一九九二.オーストリア・ハンガリー帝国の首都ウィーン生まれの経済学者、哲学者。ウィーン大学で法学と政治学の博士号を取得。ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスらの流れを汲むオーストリア学派の一員として、ケインズ、オスカー・ランゲらと論争を展開した。一九三一年にロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)教授。一九四四年刊行の『隷従への道』は英米でベストセラーに。一九五〇年シカゴ大学教授。一九六二年からフライブルク大学教授。一九七四年のノーベル経済学賞受賞。主な著作に『貨幣理論と景気循環』、『自由の条件』、『法と立法と自由』など。

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