欧州と話をしたいとき、いったいだれに電話をかけたらいいのか? ヘンリー・キッシンジャーのこの有名な問いに対して、ついに答えが出た。欧州中央銀行(ECB)の総裁に話をすればいいのである。『ザ・バンク』では、ECB設立にかかわる当事者たちとの直接インタビューに基づき、ECBの総裁の指名にまつわる陰謀・内紛、金融政策のあり方をめぐる国家間の対立をドラマチックに再現している。1998年5月、欧州の首脳たちはウィム・ドイセンベルクの初代総裁指名をめぐって激しく争っていた。ドイツがECBの青写真としてブンデスバンク・モデルを押しつけたため、自尊心と国家意識が強いフランスは躊躇し、警戒心を強めたのである。ここに国の威信をかけた虚々実々の駆け引きが繰り広げられていく・・・。グローバルな金融情勢を知る上で必読の一冊。