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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/05/20 14:04, 提供元: フィスコ 明豊エンター Research Memo(4):城南・城西地区を中心に海外投資家のニーズに合わせた安定供給が可能*14:04JST 明豊エンター Research Memo(4):城南・城西地区を中心に海外投資家のニーズに合わせた安定供給が可能■明豊エンタープライズ<8927>の事業概要 5. 強み 同社は東京23区内でも特に立地の良い城南地区(港区、品川区、目黒区、大田区)と城西地区(新宿区、世田谷区、渋谷区、中野区、杉並区、練馬区)を中心に不動産投資戦略をプランニングしている。同社にて土地取得から開発と販売を担当し、グループ会社の明豊エンジニアリングと協栄組が設計・建設を、明豊プロパティーズが入居者管理、建物管理、アフターサービス、マーケティングに基づく入居者入れ替え時の募集条件提案を責任もって担うことで、資産価値が高く安心できるアパートメント・マンション経営をワンストップでフルサポートできる点が強みとなる。 相続税額算出において、賃貸用不動産は、現金や株式(有価証券)などより相続税評価を圧縮できるため、大幅削減が期待できる。含み益のある事業用不動産を売却し、賃貸事業用不動産を購入する顧客に対しては、一部課税の繰り延べ対象となる物件(敷地規模300m2以上)を用意している。マンション・アパートメント経営だけでなく相続税対策をはじめとした節税対策についても有益な提案を行っている。 不動産分譲事業においては、「土地取得」「商品企画」「建設」「賃貸管理」ないし「販売」といったステップを踏むが、同社はそれぞれのステップにおいて付加価値を生み出すポイントを有している。例えば「土地取得」では、過去200棟以上の土地購入実績から、マンション・アパート用地の情報を同業他社よりも早く入手できるため、業界内では「1棟収益レジデンスと言えば明豊」と認知・評価されている。 「商品企画」についても、一般的に敬遠されることが多い用地、具体的には袋小路用地、不整形地、路地状敷地など、建設コストが上昇しやすく、建築基準法上の制限が生じる可能性が高い取り扱いの難しい用地でも適正価格で仕入れ、地形の個性を生かして巧みに商品企画をすることで、資産価値・収益性を高めて販売できている。 「建設」面では、協栄組と明豊エンジニアリングという2つの施工会社をグループに持ち、商品企画チームとの連携が非常にスムーズであるため、綿密かつスピード感を持った施工計画の立案が可能である。これにより、例えば前面道路が細く、工事車両が進入できないような土地でも商品化できる体制を構築している。 竣工後の建物を「リーシング」する場合でも、東京23区内かつ駅徒歩10分以内と賃貸需要の旺盛な好立地を仕入れる方針のため、竣工後、平均3.4ヶ月という短期間で満室稼働になる。一方、「販売」する場合についても、開発用地購入から売却まで、約12〜18ヶ月という短いサイクルでの資金回収を可能としている※。 ※ 一般的な分譲マンション開発の場合、資金回収まで3年程度を要する。 都内の城南・城西地区が用地取り扱いの中心となるため、一般的には同業者間の用地獲得競争が厳しいものと考えられる。しかし同社はこれらの地域において競合他社を圧倒する競争力を有している。その源泉となる1点目は地域における情報収集力である。当該地域においてはこれまで200棟以上の事業用地購入の実績を誇ることで、「1棟収益レジデンスと言えば明豊」といったステイタスを築いている。そのため、地場の不動産業者からの情報も他社より早く入手できる。2点目は事業化に向けた組織的な取り組みである。事業用地の情報が入手できた後は、建物の企画設計を担当する技術者、事業推進の担当者、及び販売担当者がチームを形成して事業化の検討を行う。その結果事業化の可能性が確認できた場合はいち早く購入の意思表示を行い、事業化を進めるといった形でプロジェクトを進めるため、地場の業者からの信頼も厚く、また同社で蓄積した商品企画力をこのような事業推進方法のなかで十分生かせる体制が確立されている点が強みとなっている。さらに事業用地の情報収集においては人財育成の一環として若手社員を活用している。具体的には、新卒の社員については、おおむね3〜4ヶ月間、集中的に研修したうえで7月、8月頃からは実際に先輩社員について仕入れ活動を始めるが、早ければ1年目でプロジェクト進行の中心的存在として活躍する。積極的に新卒を採用し始めたのは2021年4月以降入社の社員からであるが、退職者はゼロである(2023年7月時点)。仕入れに対してのインセンティブ制度等も充実させているが、早い段階でプロジェクトを任され、成長を非常に強く感じられるという点が、若手社員のモチベーションアップにつながっていると同社では考えている。こうした若手人財の早期活躍による会社全体としての活動量増加も効果を発揮し、最近では同業他社よりも仕入れ力がより高まっている。 本社を構える目黒区は城南地区であるため、城南・城西地区を中心として実績を積み上げ、ノウハウを蓄積してきたことで、情報分析力・事業企画力なども培われた。不動産ビジネスを一気通貫で行う「明豊」であれば早期に判断・対応してくれるといった、同業他社からの信頼感はこれまでにも増して高まっているだろう。 加えて、昨今の円安傾向を背景にアジア圏の投資家の安全・安心な東京の不動産に対する投資への関心が高まるなか、同社は2023年3月より、海外投資家への積極販売を始めた。2016年より、出張ベースによる台湾・現地不動産会社と連携した「不動産投資共同セミナー」を継続開催し、台北市での商品資料展示や日本投資用不動産Webサイトへの商品掲載サービスを積極活用し、「台湾富裕層向、日本不動産投資セミナー」を2023年3月に実施した。台湾をはじめとする中華圏の投資家ニーズに応えるため、ホームページの中国語対応を行うとともに、協業会社を通じ、海外在住の顧客に対して、一部商品を国内販売に先駆けて早期提供している。さらに2024年12月には台湾に現地法人である東京明豊開發股フン有限公司を設立し、台湾を中心とした中華圏投資家とのパイプをさらに強化する計画である。 2024年3月にはシンガポールにて個別商談会を実施した。台湾をはじめとするアジア圏での販売ルートを順次拡大するなか、インバウンド需要の回復や円安加速の影響により日本の不動産投資に対する需要が増加傾向にあるシンガポールに初進出した。同社の海外販売戦略において同国は重要な国の1つになるだろう。 なお、日本国内における金利動向は2024年以降利上げ基調にあり、「金利のある世界」が戻ってきている。しかしながら2025年に入ってからの世界経済の不透明感もあり、今後についての予想は困難な状況にある。同社としては不動産・金融マーケットの状況や、投資家の動向に目を配りつつ、適切な対応を採ることで強みを生かした事業運営をしていくことになろう。 (執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一) 《HN》 記事一覧 |