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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/08/14 12:08, 提供元: フィスコ フェローテク Research Memo(8):2028年3月期に営業利益470億円、ROE15%を目指す*12:08JST フェローテク Research Memo(8):2028年3月期に営業利益470億円、ROE15%を目指す■中長期の成長戦略 1. 中期経営計画の基本方針 フェローテック<6890>では、2024年春に2027年3月期を最終年度とする中期経営計画を発表していたが、足元の半導体業界の動向等を踏まえてこの計画を見直し、新たに2028年3月期を最終年度とする計画を発表した。ただし、定性的な目標(戦略)は変わっておらず、以下の4つの基本方針を推進する。 (1) 事業成長 ・半導体関連、電子デバイス、自動車関連事業を拡大し、成長を追求する。 ・米中摩擦による中国外製造(Ex-China)のニーズに対応してマレーシア等の中国外製造を強化しながら、中国における半導体関連ニーズの取込みを進める。 (2) 収益性向上・生産効率向上 ・マレーシア(クリム、ジョホール)工場の生産拡充・効率性向上による収益率の引上げを実現する。 ・デジタル化・自動化・AI化を展開し、生産効率向上・競争力強化を追求する。 ・新製品・新技術の開発を推進・強化し、「品質は命」と考え品質管理の徹底を継続する。 (3) 人材強化・企業文化 ・人材重視を重要な経営戦略とし、人材の採用及び育成を推進する。 ・企業文化は企業の礎であり、「顧客を尊敬、従業員を尊敬し、勤勉と信用を尊重し、着実に行動し、革新を追求する」指針の浸透活動を継続する。 (4) 財務・株主還元 ・中国上場の洗浄事業子会社FTSVAとパワー半導体基板子会社FLHの統合実現後には株式時価が増加見通しであり、活用方法を検討する。 ・新たな株主還元方針に則り、DOE(株主資本配当率)を採用し、自社株式の取得も機動的に検討する方針である。 2. 定量的目標(KPI) (1) 利益計画 2028年3月期までの3年間の売上高、営業利益、利益率等の目標は以下のようになっており、最終年度である2028年3月期には売上高4,000億円、営業利益470億円、ROE15%、自己資本比率40%の維持を目指す。 (2) 投資計画及びキャッシュ・フロー見通し 今後3ヶ年の設備投資は累計1,400億円を計画している。 主な投資内容は、半導体関連顧客からの2025年以降のキャパ増強の要請へ対応するための能力増強投資である。また米中間の貿易摩擦等を考慮して、中国外の生産体制を強化する。パワー半導体基板等の自動車セグメントへの投資も継続する。 この間の営業キャッシュ・フローの増加により、フリーキャッシュ・フローは改善する見通しである。 3. 主要製品別戦略と売上高目標 (1) 石英 (中長期業績見通し) ・欧米顧客は、ユーザー在庫の影響を2025年も一部残存を織り込み、回復本格化は2025年後半以降だが中期的な需要は拡大する見通し。クリム工場黒字化、生産拡充・効率性向上を進め、収益性向上を図る。 (設備投資・生産能力の状況) ・欧米顧客は中期的な需要が増加する見通し。増産要請に対応し、クリム第二工場を着工。拡大する中国顧客の需要を、中国内キャパにて対応する。 (2) セラミックス (中長期業績見通し) ・欧米顧客の需要は2025年後半に増加見通し、中期的な需要は拡大見通し。中国市場も中期的には拡大見通し。 (設備投資・生産能力の状況) ・欧米顧客の中期的な需要増加見通し、増産要請に対応し、クリム第二工場を着工。拡大する中国顧客の需要を、中国内キャパにて対応する。 (3) CVD-SiC (中長期業績見通し) ・CVD-SiCは需要拡大が継続する見通し。岡山工場のキャパ拡充、常山工場の立ち上げにより、売上の拡大を図る。 (設備投資・生産能力の状況) ・常山工場の生産ライン立ち上げ中、生産キャパを引上げ、さらなる需要取込みを図る。 (4) シリコンパーツ (中長期業績見通し) ・ユーザー在庫の影響継続を織り込み、回復本格化は2026年以降の見通し。ただし、中長期の需要は底堅い見通し。 (設備投資・生産能力の状況) ・欧米顧客の中国外製造ニーズに応え、2025年にマレーシア・ジョホール工場を立ち上げ中、下期生産開始予定(建屋賃借)。 (5) サーモモジュール (中長期業績見通し) ・AI関連需要の取込みにより成長継続を見込む。冷却チラー事業の拡充を目指す。 (設備投資・生産能力の状況) ・生産の自動化・効率化はさらに進める。中国外製造は検討中。 (6) パワー半導体基板 (中長期業績見通し) ・パワー半導体基板の中長期的な需要は拡大基調が継続する見通し。DPC等の製品レンジの拡充、材料内製化、自動化等により事業基盤の拡充を進める。 (設備投資・生産能力の状況) ・四川工場は生産拡充による収益貢献を見込む。マレーシア・ジョホール工場は2025年4月に生産開始。顧客需要は堅調であり、段階的に稼働が増加する見通し。 4. 主な工場新設・生産能力増強の状況 成長へ向けて、工場の新設・増設を着々と進め、生産能力を拡大中である。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) 《HN》 記事一覧 |