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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/07/03 12:05, 提供元: フィスコ 三井松島HD Research Memo(5):専門性ある中小企業群が収益の新たな柱に成長*12:05JST 三井松島HD Research Memo(5):専門性ある中小企業群が収益の新たな柱に成長■三井松島ホールディングス<1518>の事業内容 (2) 三生電子 2020年4月に株式取得した三生電子では、水晶デバイス※用計測器・生産設備の製造販売、並びに関連するハードウェア・ソフトウェアの製造販売を行っている。1963年に創業し、水晶デバイス製造工程のうち組立てから検査まで幅広くカバーしたインラインシステムを構築できる国内唯一の装置メーカーである。顧客との強固な関係や価格競争力、高い技術力が強みである。2022年3月期より組み立て工程の前段階であるブランク工程も含めたインラインシステムを開発・販売開始しており、他社との一層の差別化を実現している。2024年1月には三生電子が米国に新たに設立したSansei America, Inc.,を通じて、Saunders & Associatesを買収。Saunders & Associatesのネットワークアナライザー(水晶振動子用の計測器)は精度の高さと使用の簡便さにより、国内だけでなく、中国、台湾、欧米など世界中の水晶デバイスメーカーで使用されている。これによって、三生電子の水晶デバイス業界におけるさらなるプレゼンスの向上とグループシナジーの創出を追求していく構えだ。 ※ 水晶の(逆)圧電効果を利用した電子部品。あらゆる電子機器に搭載され、特にスマートフォンなどの無線接続機器には必要不可欠。自動車のエレクトロニクス化や通信インフラ5G対応など、成長分野での用途拡大が見込まれている。 水晶デバイス市場に関しては、シリコンサイクルに類似した動きをたどり、コロナ禍後の消費活動の変化や、世界的なインフレなどを受け、ここ数年は在庫調整局面が継続していたものの、足元では反転の兆しが出ている。先述した理由から中長期的には水晶デバイス用計測器・生産設備に対する需要は安定して推移するものと弊社は見ている。 (3) 日本カタン 2022年5月に株式取得した日本カタンは、鉄塔と送電線を連結する送電線用架線金具を取り扱っている。国内で架線金具の構成部品すべてを製造できるメーカーは2社のみで、日本カタンは国内高圧送電線用架線金具市場でトップシェアを誇る専門メーカーである。顧客である電力会社の製品規格に対応できる技術力と設計ノウハウを有し、長年にわたる顧客との信頼関係を築いている。これにより、他社が同等の地位を築くには多大な時間とコストを要する構造的優位性を有しているため、今後も高いシェアが継続すると見込まれる。政府はAI需要増による将来的な電力消費拡大対応、及び再生可能エネルギー普及のため次世代送電網整備計画検討を本格化させており、送電設備の工事需要は高水準で推移する見通しである。社内に引張試験機、疲労試験機、非破壊検査機等様々な試験設備を有しており、品質確保のための自社製品の試験のみならず、それら試験機を使用しての受託試験案件数も着実に伸びている。 (4) プラスワンテクノ 2023年8月に株式取得したプラスワンテクノは、同社初の九州地場企業に関わる事業承継案件としてグループに加わった。福岡県北九州市に本社を構え、計量装置製造を主体に、その周辺機器等の製造を手掛けており、計量装置大手が参入しないコンマ単位の軽量領域というニッチ市場でトップシェアを誇っている。ペットフード、保存食、インスタント味噌汁具材の計量・包装などに使用されており、日清食品ホールディングス<2897>、味の素食品(株)、カルビー<2229>、永谷園ホールディングス<2899>をはじめとする国内大手企業への納入実績が多数あるほか、海外企業への納入実績もある。今後は、同社グループが持つ経営ノウハウを活用しながら業績を拡大する方針だ。 (5) ジャパン・チェーン・ホールディングス 2023年12月に株式取得したジャパン・チェーン・ホールディングスは、傘下に(株)杉山チエン製作所、ゼクサスチェン(株)及びMAXCO Chain,Ltd.の3社を擁し(4社を総称して以下、「JCHグループ」)、産業用ローラーチェーン及びコンベヤチェーンの製造販売等を展開。JCHグループは、創業以来110年以上、国内外の様々な産業の顧客から高い信頼を獲得しており、特に動力機械伝達用のローラーチェーンにおいて国内外で高いシェアを獲得していることに加え、水処理施設向け等の大型コンベヤチェーンに関わる国内市場においてトップシェアを誇る。JCHグループの強みとしては、(1) 優れた疲労強度や破断強度等の耐久性を有し、国内外で評価が高い日本製チェーンを幅広いラインナップで展開していること、(2) 長年にわたり顧客と信頼関係を構築し、様々なニーズに対応できる高度なカスタマイズ能力を有していること、(3) 今後も成長が見込まれる世界最大の産業用チェーン市場であるアメリカで強固な販売ネットワークを有することなどがある。今後は、同社グループが持つ経営ノウハウを活用しながら生産活動のさらなる効率化などを推進し、トップラインの拡大と利益の積み上げを実現する方針である。また、ジャパン・チェーン・ホールディングスの地域別売上高を見てみると、米国からの売上げが相応に高く、同社は米国の力強い経済成長力を連結ベースの業績に取り込んでいく見通し。 3. 金融その他 (1) エム・アール・エフ 2024年7月に株式取得したエム・アール・エフは、中小企業及び個人事業主向けの専門金融機関である。日本の企業の99.7%を占める中小企業や個人事業主に対し、事業運営に不可欠な資金繰り支援を提供しており、それぞれの経営課題に応じた最適な融資プランを迅速かつ柔軟に提案する体制が構築されている。主力業務である事業者向け不動産担保融資を中心に、地方銀行や信用組合といった競合との差別化を図りながら、専門知識を備えた営業スタッフによる課題解決力と幅広いネットワーク拠点を武器に事業を展開。2024年10月には東京支店を新設、さらなる顧客基盤の拡大を目指している。 (2) MM Investments MM Investmentsは、M&Aのさらなる拡充と発展を目的として設立された投資事業会社である。2024年8月より上場株式投資を開始し、M&Aの方針と同様に「安定収益・ニッチ市場・わかりやすい」を軸に、100%の株式を取得してもいいと思える企業をポートフォリオに組み入れている。株価が上昇すれば適切なタイミングでの売却により収益を確保し、下落局面では状況に応じて、100%子会社化を視野に入れた柔軟な投資戦略を展開している。これにより、同社グループとしての資産運用及び資本戦略の多様化が進められており、成長資金の確保とリスク分散の観点からも重要な役割を担っている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司) 《HN》 記事一覧 |