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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/08/13 14:03, 提供元: フィスコ システムズD Research Memo(3):システム開発事業とアウトソーシング事業を展開(1)*14:03JST システムズD Research Memo(3):システム開発事業とアウトソーシング事業を展開(1)■システムズ・デザイン<3766>の事業概要 1. セグメント情報 同社グループは、同社と子会社3社により構成されている。セグメントは、システム開発事業、アウトソーシング事業の2つである。子会社は3社により構成され、そのうちシェアードシステムはシステム開発事業を行っており、アイカムとフォーはアウトソーシング事業を担っている。 2. システム開発事業 システム開発事業では、企業向け情報システムの企画、開発から運用までをトータルにサービスするシステムインテグレーション(SI)を提供する。システムの開発については、フルオーダーメイド開発だけではなく、企業のニーズに応じて「楽々シリーズ」※1などのローコード開発ツール※2・Salesforce※3・SAP※4・クラウドなどの開発プラットフォームを活用したパターンメイドのソリューションの提案や、Webや情報ネットワークなどのインフラ構築、ハンディターミナルやスマートフォンに対応したミドルウェアパッケージソフトなどを提供している。 ※1 楽々シリーズ:ローコード開発プラットフォーム「楽々Framework3」と電子ワークフローシステム「楽々WorkflowII」を中心とした、業務システム構築を支援する製品群の総称です。楽々Workflow、楽々Frameworkは、住友電気工業<5802>の登録商標です。 ※2 ローコード開発ツール:最小限のプログラミングでソフトウェアやアプリケーションを短期間で開発することを支援するツール。企業のDX推進に伴い、迅速で柔軟にアプリケーションの開発を行う必要性が生じており、近年、注目が集まっている。 ※3 Salesforce:米国Salesforceの提供するクラウドベースのCRM(顧客関係管理)プラットフォームであり、営業、マーケティング、カスタマーサービスなどの業務効率化のツールを提供する。 ※4 SAP:ドイツSAPが提供するERPシステム(Enterprise Resource Planningシステム:企業の様々な業務プロセスを統合管理するシステム)。 システム開発の主な事例としては、自動車メーカーの基幹系システム、医療機関向けの電子カルテシステム、通信サービス事業向けのシステム基盤、物流事業向けの基幹系システムなどがある。主な取引先としては、本田技研工業<7267>、富士通<6702>、(株)オプテージ(関西電力<9503>子会社)、SGシステム(株)(SGホールディングス<9143>子会社)、(株)オージス総研(大阪ガス<9532>子会社)などである。 国内ICT市場においては、企業の基幹系システムの老朽化、レガシーシステム化が「2025年の崖」※として大きな課題となっており、システム更新のニーズが高まっている。同社においては、新しいIT技術やDXに対応したシステムのオープン化、クラウド化などのモダナイゼーションを伴うシステムリプレースの受注に注力している。 ※ 2025年の崖:経済産業省が2018年のDXレポートで提起した概念。2025年には既存のITシステムが老朽化、肥大化、複雑化、ブラックボックス化し、これがビジネスの柔軟性や競争力を低下させるとともに、IT人材不足が拡大しシステムの維持・更新が困難になる問題。これが解決されないと、2025年以降最大で年間12兆円の経済損失が発生する可能性があるとしている。 なかでも、ローコード開発ツールなどを活用したソリューションサービスを積極的に展開している。開発生産性を高めて企業のシステム導入時間・コストの最適化を実現すると同時に、同社の収益性の向上にも寄与している。ロイヤルカスタマーからもローコード開発ツールを使って自社システムを開発したいとの要望が数多く寄せられている状況のようだ。同社は、住友電工情報システム(株)のローコード開発プラットフォームである「楽々Framework3」及びノンプログラミングのワークフローシステム「楽々WorkflowII」の正規販売代理店となっている。2022年11月には「楽々WorkflowIIを活用した電子署名連携サービスの提供、2023年7月には「楽々Framework/Workflowインフラ基盤構築」及び「楽々Framework/Workflowインフラ老朽化対応・製品バージョンアップ」サービスの提供、2024年8月には「楽々WorkflowII」と「駅すぱあと API」連携サービスの提供を開始するなど、当該ツールをサービス・最新技術・業務アプリへ拡大し、DXツールとして展開するべく取り組んでいる。同社としては、そのほかSalesforce・SAP・クラウドなど既存の開発プラットフォームをツールとして活用し、企業のDXなどへのソリューション提供に注力し、新たな収益基盤を拡充する。これらのツールの活用は、一から要件定義を行いオーダーメイドで構築するシステムと異なり、システムエンジニアのリーダー確保が厳しくなっている現状を打開する手段としても有効である。IT人材確保の対応策としては、同社では国内のパートナーへの外注だけでなく、国外のパートナーも活用する方針だ。 開発ツールとしては、子会社のシェアードシステムが、ハンディターミナルや業務用スマートフォン、タブレットを利用するシステムに最適化されたミドルウェアパッケージソフト「HaiSurf(ハイサーフ)」シリーズ、Android端末に特化して処理速度とデータ量の大幅削減を実現した「Rundlax(ランドラクス)」を開発し、その販売、保守・サポートを行っている。シェアードシステムは、流通業向けシステムの受託開発によって業界の有力企業を中心とした顧客基盤を持つ。「HaiSurf」「Rundlax」は、ハンディターミナルが多用される倉庫業務で数多く利用され、通販、日用雑貨、自動車、医薬品を中心に国内外の導入企業は1,000社以上となる。業界トップクラスの導入実績を誇り、国内だけでなくベトナム、タイ、シンガポールをはじめとする東南アジアに加え、北米、ドイツ、オーストラリアといった世界各国にも展開している。 2024年3月に資本業務提携したマルティスープは、地図・位置情報プラットフォーム構築や多岐にわたる測位技術、取得した位置情報と業務情報のデータ分析に強みを持ち、位置情報を起点とする現場情報の集約・分析ツール「iField」を提供している。同社では、「iField」の販売を通じて企業との接点を増やし事業領域を拡大するとともに、同社グループの流通などのシステムとのシナジー発現を狙う。 また、同社は社長直轄のDX推進室を設置し、新規事業のシーズ探索とそのための先進IT技術(AIやデータサイエンスなど)の開発を進めている。2023年3月からスタートした東京大学との「ヘルスケア分野における疾病予防プログラムの共同研究」は教授陣の異動もあり、残念ながら2年間で終了したが、同社では、従来から富士通の病院向けパッケージソフト(電子カルテ、医療会計など)導入を支援し、アウトソーシング事業では国保連合会や医師会と取引があり、ヘルスケアの知識・ノウハウを有するITエンジニアや医療機関・健康関連団体とのネットワークを有効活用できる素地がある。今回のAIや統計を駆使しながらのヘルスケア分野における疾病予防の共同研究で得られたノウハウ、知見を生かして、成長著しいヘルスケア分野(特に健康・保健領域)における新サービス創出も検討している。そのほか、新規ビジネス創出チームを結成し、IoTベンチャー企業と連携してAIを活用したDX関連サービスの開発を進めている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 松本 章弘) 《HN》 記事一覧 |