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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/09/03 09:45, 提供元: フィスコ オーケーエム:株価は+50%〜160%高も、環境規制対応バルブ世界シェア約4割のニッチトップ企業*09:45JST オーケーエム:株価は+50%〜160%高も、環境規制対応バルブ世界シェア約4割のニッチトップ企業環境規制対応バルブで世界シェア約4割のグローバルニッチトップ企業であるオーケーエム<6229>の決算が順調だ。8月14日に発表された2026年3月期第1四半期(1Q)決算は、売上高で前年同期比19.8%増の2,826百万円、営業利益で同52.0%増の461百万円と大幅増収増益、かつ第1四半期の売上高として4期連続で過去最高を更新している。足もとおよび中期経営計画での成長スピードと比して、またはPBR1倍割れの株価には割安感が強い。株価は+50%〜160%高(2,000〜4,000円程度)も試算し得る。 1Qは過去に大量建造された高齢船舶の代替需要や世界的な物流量の増加に伴う新造船需要の高まりを背景に、舶用売上高が前年比31.5%増と船舶排ガス用バルブが売上高の伸びを牽引している。利益面では、LNG用バルブの収益性改善や全体的な経費抑制が寄与したほか、同社と海外グループ会社2社との決算期の違いに伴う期ズレの補正も業績に対してプラスに作用し、営業利益・経常利益ともに過去最高を達成した。期ズレ補正は前年同期も発生しており、それを考慮しても大幅な増益となる。通期予想は売上高で前期比2.5%増の10,700百万円、営業利益で同13.2%減の680百万円が見込まれている。新基幹システムの本格稼働に向けた体制整備の期間との位置づけから、そもそも減益予想(投資がなければ増益予想と想定される状況)であり、2Q以降の子会社との期ズレ補正もマイナスに働く可能性があるとして、業績予想は据え置かれているものの、やや保守的に見える。なお、米国による関税措置の影響については、近年において米国向けの直接取引がないことから、現段階では影響が軽微と判断されている。 世界の環境規制対応船の建造増加に伴い、今後も売上は拡大していく見込みである状況下、2028年3月期を最終年度とする中期経営計画で売上高13,200百万円、営業利益率10%以上、ROE8〜10%を、2031年3月期に連結売上高20,000百万円、営業利益2,000百万円を目指す中長期ビジョン「Create 200」を推進中である。 前期実績から中長期ビジョン「Create 200」における営業利益CAGRは+17%となる。資本効率も高まることから、中長期ビジョン「Create 200」の最終年度で上場企業の標準的なPER15倍(フィスコ試算)で評価された場合、株価は4,000円程度まで上昇することになる。株主還元も積極化しており、2025年5月には上場後初となる自己株式の取得を実施している。足もとの株価上昇でやや低下したものの、配当利回りも2.64%となっている。PBRも0.67倍であり、少なくとも1倍に水準訂正する過程で、株価は2,000円を上回る。 なお、同社は販売代理店を通じ、国内外の幅広い業界にバルブを提供している。バルブは流体を「流す」「止める」「絞る (調節する)」ための機器で、時代のニーズに合わせて進化し、さまざまな用途で使用されてきた。流体が通る空間の開閉や流体の制御・調整などができる可動機構を持つ機器(弁)が「バルブ」と総称され、工場やビル、車、船、宇宙ロケットなど幅広い分野で活躍している。同社は、コンパクトで汎用性の高いバタフライバルブを主力製品とし、流体や制御条件に合わせて最適なバルブを提案している。同社の強みは約20種類の型式に加え、サイズ、部品、材質などの組み合わせで10万種類以上のカスタマイズに対応できる点で、これにより顧客の多様なニーズに応えている。過去には製紙用バルブの特許取得を契機に製紙業界でその名を知られる存在となった。また、国内ビル空調システムで90%以上のシェアを誇る山武ハネウエル(現・アズビル)と技術提携し、建築空調設備に進出。造船業界でも国内主要造船所の70%以上に製品を納入している。近年では、世界No.1の舶用エンジンライセンサーであるMAN社と協働で環境規制対応バルブを開発。船舶排ガス用バルブとして世界シェア約40%、日本シェア90%超を実現している。また、水素、アンモニア、LNGなど次世代燃料に対応する製品開発にも注力している。アンモニア燃料供給装置(AFSS)用バルブの陸上実機試験を客先にて実施し、同型バルブについて、現在、実船搭載に向け調整を進めている。2030年以降にも立ち上がりが予想されるアンモニア用途にもおいても小型化で先行しており、世界シェアトップを狙う意向だ。いち早く市場のトレンドを捉え、独創的な技術を活用して、さまざまな業界の顧客に高付加価値のカスタマイズバルブを提供する同社の動向に注目しておきたい。 《HM》 記事一覧 |