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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/09/05 14:12, 提供元: フィスコ マニー:品質優位性を武器に海外売上比率85%、中期経営計画前倒し達成と海外展開加速に注目*14:12JST マニー:品質優位性を武器に海外売上比率85%、中期経営計画前倒し達成と海外展開加速に注目マニー<7730>は、微細加工技術を活かした医療機器メーカーで、世界120カ国以上に製品を供給するグローバル企業である。事業分野は、サージカル関連製品(眼科ナイフ、硝子体鑷子、トロカール等)、アイレス針関連製品(手術用縫合針)、デンタル関連製品(歯科用根管治療製品等)の3分野で構成される。主要製品である眼科ナイフで世界シェア約30%、アイレス針でグローバルNo.2のポジションを確立し、海外売上比率は85%に達している。各製品の市場規模はいずれも安定的な成長が見込まれる。主要顧客は世界各国の医療機関や医療機器ディーラーで、日本国内に加えてベトナム、ミャンマー、ラオスに生産子会社、ベトナム、中国、インド、マレーシア、アメリカに販売子会社を有し、グローバルな製造・販売体制を構築している。 同社の最大の強みは、独自開発のステンレス材と特殊微細加工技術による圧倒的な品質優位性にある。熱処理を必要としない既に硬いステンレス材を材料メーカーと共同で独自開発し、通常の金属加工技術では加工できない特殊材料専用の加工技術も同時に開発した。この材料と加工方法は同社独自のもので、他社では模倣困難な競争優位の源泉となっている。眼科ナイフは白内障手術において眼球への負担を最小限に抑える切れ味を実現し、硬く浮いている眼球に対してもスムーズに刃を入れることができ、きれいな切り口により術後経過も良好となる。素人が使っても他社製品との品質の違いを実感できるほどの圧倒的な切れ味を誇る。アイレス針は心臓血管や神経縫合に使用される微細な針でも折れにくく切れ味が良いという特徴を持ち、小さいサイズでも安全性が高いため医師からの評価が極めて高い。デンタル製品は、同社のステンレス材微細加工技術により、折れにくさと切削性で他社との差別化を図っている。こうした高い品質優位性により、「高収益性・高シェア・高効率な製造力」という同社の強みが確立されている。 2025年8月期第3四半期累計の売上高は22,280百万円(前年同期比3.1%増)、営業利益は6,135百万円(同5.6%減)で着地した。サージカル及びアイレス針セグメントは堅調に推移したものの、デンタルセグメントで中国におけるダイヤバーの自主回収の影響が顕在化した。これを受けて通期業績予想を下方修正し、売上高29,600百万円(前期比3.8%増、従来予想比2.0%減)、営業利益7,900百万円(同5.9%減、従来予想比11.2%減)を見込んでいる。下方修正の主因は、中国でのダイヤバー自主回収の影響に加え、米国トランプ政権の関税政策による影響を織り込んだためである。ただ、ダイヤバーの自主回収は2025年8月に完了予定で、2025年3月に変更申請を行い承認取得は順調に進捗しており、製品自体に不備はなかったため、当初見込みより早い2026年1月には再承認取得と全品目販売再開が可能となる見通しである。 医療機器市場は世界で成長(CAGR 約6%)を続けており、治療の低侵襲化やロボット化、技術イノベーションが継続的に進んでいる。このような環境下で、中期経営計画では売上高500億円目標を2年前倒しで達成を目指し、2029年8月期に向けた成長戦略を加速させていく。基本的には、既存製品を中心とした売上拡大とともに、重点製品(JIZAI、硝子体鑷子)、ロボット手術向けアイレス針など新製品の投入を行うほか、新規事業も推進する。 セグメント別の成長戦略として、サージカルセグメントでは眼科ナイフに加えて硝子体鑷子やトロカールなど新たな製品群の売上を全地域で伸ばし、最も成長させたいセグメントと位置づけている。現在、日本、中国、欧州地域で高い市場シェアを持つが、今後は北米および東南アジア諸国への販売拡大により全体的な市場シェア向上(世界シェア30%から50%へ)を図る。アイレス針セグメントは市場の巡航速度に加え、低侵襲医療の進展による微細針需要の増加を取り込み、安定的に収益性を高める計画。今後さらに低侵襲医療が進み、より微細な針への需要が高まることは同社の得意分野であり、収益性向上と市場シェア拡大が期待できる。デンタルセグメントはこれまでJIZAIへの先行投資により販管費が増加し利益率が低調だったが、今後は新製品開発を進めながら収益性を維持しつつ売上拡大を進める。中国やインドを中心としたアジア地域では高い市場シェアを持つが、欧米地域では拡大余地が大きいため、2026年以降はアメリカの販売子会社およびドイツのMMG社を中心とした販売活動を本格化させる。MMG社は審美歯科治療向け歯科修復材を手がけており、現在は赤字だがコスト構造の改善を行いながら2029年8月期に向けてスケールアップと収益性改善を目指している。 今後の成長投資として、2025年8月期まで重視してきたスマートファクトリーを中心とした生産投資がひと段落することから、次の4年間は成長投資に注力する方針である。手元のキャッシュを活用し、M&Aやアライアンスを積極化する。M&Aで関心がある領域は大きく2つあり、1つ目は先進国市場やインド中心とした新興国などでの新たな販売網や販売力の獲得である。営業活動においても、これまで日本から各地域の営業統括を行っていたが、各地域にリージョナルHQを設立してそれぞれが独自に統括できるグローバル5極体制の構築に投資する。2つ目は製品・技術に関わるM&Aで、これまで自社開発・生産にこだわっていた部分から外部との連携を増やし、より幅広い視点での研究開発を進める。主要製品の開発サイクルが10-20年と長いため、この期間短縮を図るべく、同社と同程度のポテンシャルを持つサージカルや眼科、歯科領域の企業買収を検討している。また、アメリカで締結したMicroSurgical Technology 社との戦略的パートナーシップにより、北米地域での眼科ナイフ販売拡大の取り組みも本格化する。2024年11月からは渡部眞也氏を新代表執行役社長として迎え、新たなマネジメントチームによる中期経営計画の着実な実行を進めている。2025年10月には次期中期経営計画を開示予定で、特に海外機関投資家向けのIR活動を強化していく。 株主還元については、配当性向50%以上の水準を維持しながら安定的な増配を継続する。株主優待制度では、毎年8月31日現在で300株以上かつ1年以上継続保有の株主に3,000円のQUOカードを贈呈または日本赤十字社への寄付を選択できる制度を設けている。次の10年間は、500億企業のさらなる上である1000億企業を目指していく大きな飛躍の時期と捉えているようで、次期中期経営計画が2025年10月に発表される予定。総じて、独自の微細加工技術による圧倒的な品質優位性を武器に、海外展開の加速とM&Aを含む成長投資による事業領域拡大に期待が広がろう。 《FA》 記事一覧 |