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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/10/17 12:05, 提供元: フィスコ アイル Research Memo(5):強みは業界・業務に精通した業務コンサルティング力やトータルソリューション力*12:05JST アイル Research Memo(5):強みは業界・業務に精通した業務コンサルティング力やトータルソリューション力■アイル<3854>の事業概要 4. 特徴・強み 同社の特徴・強みとしては、(1) 中堅・中小企業市場への特化、(2) 特化業種の深耕戦略、(3) 高い販売・在庫管理ノウハウ、(4) トータルソリューションを実現する商品生態系戦略、(5) 社員の約7割が技術職の体制、(6) 個別カスタマイズ対応力、(7) 小売業へのオムニチャネル戦略、(8) 自社製品・サービス比率の高さ、(9) パートナー戦略などが挙げられ、業界・業務に精通した業務コンサルティング力やトータルソリューション力が同社の競合優位性となっている。 (1) 中堅・中小企業市場への特化 会社創業以来、中堅・中小企業市場に特化して独自サービスを提供しており、顧客企業数に占める割合は年商50億円未満の中小企業が約9割となっている。それらの取り組みが評価され、2011年には経済産業省「中小企業IT経営力大賞2011」の特別賞(商務情報政策局長賞)を受賞している。なお(9) パートナー戦略の強化の成果として、銀行等のパートナー紹介による大企業からの受注も増加傾向である。 (2) 特化業種の深耕戦略 卸売業・小売業や製造業のなかでも、特に中堅・中小企業の多い業種に絞り込んだ特化業種の深耕戦略も強みである。業種特化型システム開発や業種別専門チーム体制などサービス力・営業力で負けない体制を形成し、新規顧客獲得力アップにつなげている。具体的にはアパレル・ファッション業界、食品業界、医療・化粧品・理美容品業界、ねじ・金属部品業界、鋼材業界を主力5業種と位置付けて、業種特化型パッケージソフト「アラジンオフィス」シリーズなどによる市場深耕を推進している。なお近年は主力5業種にとどまらず、建材などの物販に加えて施工まで請け負う企業が増加し、こうした企業向けに「アラジンオフィス」のオプションとして2022年9月にバージョンアップした「プロジェクト管理機能」の受注が増加傾向のため、こうした業態の企業向け拡販も推進している。 (3) 高い販売・在庫管理ノウハウ 会社創業以来、顧客の業務への理解が求められる販売・在庫管理ソフトウェアの提供を続けている。製造・卸・小売などの業態や各業種、さらには個社ごとに管理方法が異なる販売・在庫管理において、リアルとWebを問わず豊富な導入事例とノウハウを有している。 (4) トータルソリューションを実現する商品生態系戦略 複数の商品群からなる商品生態系戦略も強みである。ネットショップ構築・運営支援サービスのインターネット領域、店頭での売上管理やバックヤードの在庫管理のリアル店舗・本部領域、さらにリアルとWebの在庫やポイントを一元管理するリアル・ネット融合領域をすべてカバーし、自社製品・サービスを開発・提供している。そして様々な商品を組み合わせることで複合的な提案を行い、顧客へのトータルソリューションを実現している。 (5) 社員の約7割が技術職の体制 2025年7月期末時点の単体ベース社員数992人(前期末比71人増加)の構成は技術職73%、営業18%、スタッフ10%となっている。社員の約7割が技術職の体制で、システム提供後のサポートも重視している。今後も1人3役(業界・業務ノウハウ、基幹システム、Web)をこなす人材育成と技術力強化を促進する組織構成を目指し、技術部門の人員強化を継続する。さらに、開発業務を中心とする業務効率化・生産性向上に向けてAIを積極活用する方針だ。 (6) 個別カスタマイズ対応力 中堅・中小企業は業種ごともしくは個別企業ごとに業務運営方法が異なる。そのため多様なニーズに対応するソフトウェアの個別カスタマイズを基本戦略としている。ソフトウェア開発市場における近年の動向として、ソフトウェアの個別カスタマイズに対応できる企業が減少傾向にあり、受注競合が減少していることも同社の利益率向上につながっている。なお、さらなる生産性向上や利益率向上に向けて、個別カスタマイズ対応を最小限に抑え、オプション機能としての提供も推進している。 (7) 小売業へのオムニチャネル戦略 近年の小売業においては、リアル店舗とWeb店舗を融合して、あらゆるチャネル(販路、顧客接点)から顧客が同じように商品を購買できるオムニチャネル戦略が普及している。同社は創業時からリアルとWebの融合を事業化し、一朝一夕では実現できない事業ノウハウ・事例を蓄積しているため、小売業におけるオムニチャネル戦略の進展に対しても、他社には真似できない優位性を確立していると言える。 (8) 自社製品・サービス比率の高さ 同社は、価格変動に左右されやすく利益率も低いハードウェアなどといった、他社製品の売上に依存しない収益構造の構築を経営方針の重要事項としており、自社製品・サービスを中心とする拡販を推進している。その結果、売上高に占める自社製品・サービス(ソフトウェア・運用・保守・会費など)の比率は約7割と高水準である。 (9) パートナー戦略 新規案件紹介元・営業協力会社であるパートナー(銀行、SIer、IT機器メーカー、コンサルタント、会計事務所等)からの高い信頼も特徴である。2025年7月期のシステムソリューション事業の新規受注高販売チャネル別構成比(金額ベース)は、パートナー紹介が前期比3.5ポイント低下して41.8%、同社ホームページを通じての引き合いが同0.2ポイント上昇して36.1%、自社営業による開拓が同3.2ポイント上昇して22.1%だった。2025年7月期はCROSS事業において中堅・大手企業向けの顧客アプローチを強化したため、構成比はパートナー紹介が低下、自社営業による開拓が上昇という形になったが、顧客数はすべての販売チャネルにおいて増加した。パートナー紹介を通じての引き合いというPull型営業が営業効率化につながるだけでなく、パートナー紹介による大企業からの受注増加が大型案件増加や受注単価上昇にもつながっている。 このように業界・業務に精通した業務コンサルティング力やパートナー戦略の結果、システムソリューション事業の競合勝率(2020年7月期〜2025年7月期)は89.7%、リピート契約率(2025年7月期)は98.6%となっており、同社の競合優位性は高いと言える。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展) 《HN》 記事一覧 |