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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/12/30 11:07, 提供元: フィスコ

キャリアリンク Research Memo(7):2028年3月期までの3年間で持続的成長を可能とする経営基盤構築の方針

*11:07JST キャリアリンク Research Memo(7):2028年3月期までの3年間で持続的成長を可能とする経営基盤構築の方針
■キャリアリンク<6070>の今後の見通し

2. 中期経営計画
(1) 業績目標
2025年5月に発表した2028年3月期までの中期経営計画は、中長期でのさらなる業容拡大に向けた積極投資を実行するため、オーガニックな積み上げ成長を根拠に立案した。3年間の年平均成長率で売上高は5.2%、営業利益は4.0%と堅実な成長を目指す。2028年3月期の売上高は47,066百万円、営業利益は3,026百万円とし、営業利益率は6.4%と横ばい水準で見ている。中長期の持続的な成長を実現するための経営基盤構築のため、業績目標については堅めに策定し、株主還元を行える利益水準を確保したうえで、成長投資を実行するという強い意思を計画に反映させた。このため、大型のスポット案件などは計画に織り込んでいない。事業セグメント別売上高の年平均成長率は、事務系人材サービス事業で5.1%、製造系人材サービス事業で6.1%となる。また、従業員数については専門家人材の採用を強化するものの、全体では横ばい水準を想定している。

(2) 成長戦略
成長戦略として、2028年3月期に向け事業ポートフォリオの変革と成長基盤の再構築を推進し、中長期な持続的成長を実現するために、経営戦略及び重点施策として以下の3つのテーマに取り組む。

(a) 業績基盤の拡大
業績基盤の拡大戦略として、地方自治体向けについてはエリア拡大と業務領域の拡大(ダブル広域化)に積極的に取り組むとともに、長期案件の受注比率を高めていくことに注力し、売上規模の拡大とともに安定性の向上を図る。また、民間企業向けでは新規事業開発、業務領域拡大に注力する方針だ。地方自治体のエリア拡大については、人口30万人以上の中核都市を中心に取引先数※を2026年3月期中間期の203地方自治体から2028年3月期に240地方自治体まで拡大することを目指す。一定の人口規模を有する全国の地方自治体数を踏まえると、取引先数ではほぼ上限に近い水準とも言え、そこからは収益化のハードルが高いと現時点では判断しているようだ。

※ 事務系人材サービス事業の取引先自治体数で、直近3期間で取引実績のあった自治体数。

地方自治体のBPO案件の実績は、窓口関連業務や社会福祉関連業務、各種申請事務関連業務、給付金・補助金・助成金関連業務、地方自治体DX・マイナンバー活用業務など多種多様となっている。マイナンバー関連は新規交付手続き業務が終了したものの、更新手続きなど継続的に業務が発生しており、売上規模も2026年3月期以降は安定した推移が続くものと予想される。専門的、高度なスキルを要する業務については、当該業務に通暁しているもしくは経験を有することが必要なため、外部からの招聘や社内育成を推進し、また、業務領域拡大のために必要となるIT化、DXについても取り組みを進めている。そのほか、各テーマに強みを有する大手BPO事業者との関係構築にも注力し、大規模プロジェクトが始まった場合には多様なルートで参画し、受注規模の最大化を目指す。

(b) 持続的成長への積極投資
持続的成長を実現するための投資を積極的に行っていく。具体的には、業務領域拡大のための態勢強化を目的としたDX投資や人材投資(専門家人材の招聘・社内育成)に取り組むほか、中核人材の戦力強化も図る。研修プログラムも拡充し、顧客満足度の向上や業務改善、品質向上に向けたBPO案件の運用体制を強化し、高付加価値案件の受注拡大につなげる。

(c) インオーガニック成長
インオーガニック成長として、M&Aや事業アライアンスへの投資について検討・推進していく。中期経営計画の業績目標には織り込んでいないため、これらが実行されれば上乗せ要因となる可能性がある。既述のとおり同社は定款の変更を行い新規領域に進出することを視野に入れている。進出にあたって、これら領域で事業展開している企業をM&Aまたはアライアンスを組めれば、時間をかけずにスムーズに事業を拡大できるため、今後の動向が注目される。

(3) 事業ポートフォリオ戦略
収益性と成長性の二軸で分類した事業ポートフォリオについて、各事業の今後の取り組み方針を見ると、成長性かつ収益性の高いBPO関連事業部門は積極投資(人材投資、IT&DX投資、M&Aなど)により、新規分野・新規業務の開発を推進しながら持続的成長と高収益の維持・向上を目指す。また、収益性は低いが高成長を続けている製造系人材サービス事業については、成長過程にあるとの認識で引き続き取引(顧客)基盤の拡大を優先して取り組んでいく。

収益性、成長性が低いCRM関連事業部門や一般事務事業部門については、合理化を進めることで安定収益を確保し、BPO案件につなげるフック役の機能として今後も継続する。そのほか、フィールド(営業及び営業代行)のBPOサービスは、業務開発を積極的に行い新規取引先の開拓を進める。また、JBSが展開しているペイロール(人事給与)のBPOサービスも企業のアウトソーシングニーズが旺盛なことから、営業体制を強化して規模の拡大に取り組む意向だが、現状はあまり進展がなく今後の課題となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


《HN》

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