著者はテレビや新聞にメディアによく登場される浜矩子氏ですから、みなさんよくご存意のはずです。
私たちは、まさに「グローバル経済」の中に生きているのに、各人が厳密に共通した
認識がないのが、「グローバル経済」であると著者の浜氏は指摘します。その上で、グローバル経済の
本質を「市場」「通貨」「金融」「通商」「政策」をキーワードに解き明かそうとしたのが本書です。
文体は口語体で、易しすぎるくらい易しく書かれていますから、経済に苦手意識のある方にも、最後までついていけるはずです。もっとも個人投資家にはそうような方はいないかもしれませんが。
著者は「アベノミクス」の批判派としても知られています。安倍政権が推し進めてい
るのがTTP(環太平洋パートナーシップ)への参加です。TTPというと、自由貿易協定と捉えるのが一般的な見方ですが、TTPは環太平洋以外の地域にとっては排他的貿易協定だという著者の見方は「なる
ほど」と共感させられます。
統計数値に一喜一憂されている個人投資家の方にも、たまにはこのような新書本で息抜きされてはと、
お勧めする次第です。グローバル経済が大体3時間くらいで分かりますから、一読の価値ありです。