ついに出会ったという感じである。ノートを横に、メモをしながら読んだ本はあるとしても、記憶にはない。本書は
アメリカで100万部以上売れていると言うが、本当に理解できる人が10万人だとしてもアメリカ恐るべしである。ひとりでも多くの日本人に読んで貰って追いつくしかない。
著者は「日々のマーケット全体の各種指標と、個々の主導銘柄の値動きを読み解く方法を学べ」と言う。各種指標とは、、、ファンダメンタルズなら公定歩合ほか、90日のTビルレート、長期債の価格、消費者物価指数など約10種。テクニカルなら出来高、端株の空売り指数(プットコール・レシオで代用可能)、日柄などに加えて、ミューチュアル・ファンドの販売高、償還額、キャッシュ比率などが重要だとしその見方を丁寧に教えてくれている。いっぽうで、RSIは役立たず、長期インフレ調整済み相場指標はでっちあげで、利用価値ゼロだと切り捨てる。
個々の銘柄の選び方は当四半期の一株当たり利益の際だったもの、新製品、新経営陣、新高値、総資本が小さく、3社以上10社以下の機関投資家が保有している銘柄などと、具体的できめが細かい。もちろんその理由も説明してくれている。
また相場の判断を間違えたときには、「唯一すべきことはそれを正すこと。悲惨な負け銘柄は早めに損切りをして、好調な株から得る利益をさらに膨らませるように努めろ」と、いちいち納得がゆく。いっぽうで、「相場が今後どう進むかを知る必要はない。マーケットで実際に何が起きてきたかだけを知っていればよい」とは私にとっては新鮮で 、勉強になった。
個人、プロを問わず投資を行う人に、必ず繰り返し読んで貰いたい本である。
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