3月10日を起点とした今回の上昇相場は、短期間に大きく上昇し、非常に力強いものとなりました。
日経平均株価でみると、3月10日の安値7,000円から、4月10日の9,000円まで、わずか1ヶ月で30%近く上昇したことになります。最近では、2003年4月の7,800円を大底とした上昇相場以来のことです。
しかも、今回の上昇局面では、わずか4週間で30%近く上昇しており、上昇スピードが非常に急なものであったことがわかります。
過熱感が高まっていることは各種指標からも明らかです。例えば東証一部銘柄の騰落レシオ(25日移動平均)は4月17日時点で134.8%と130%を超えていますし、日経平均株価の25日移動平均線からのプラス乖離率は、一時10%を超えた状態が続きました。
通常では、騰落レシオの130%超え、日経平均株価の移動平均からのプラス乖離率10% 超えに達すると、過熱感から相場は一旦の天井をつけ、しばらくの調整期間に入るものです。しかし、今回の上昇相場は騰落レシオや移動平均線からのプラス乖離率からみた過熱水準に達してもなお、上値で踏みとどまっています。
短期間でここまでの急上昇をみせるケースはまれなものの、巷では株式市場に強気な発言があふれています。日経平均株価が短期間で30%近く急上昇しているにもかかわらず、テレビ、新聞、雑誌などでも新規買いを推奨する声が増えています。
各種の指標からは過熱感が高まっている一方、巷からは強気の声が聞こえてくる中、果たしてどのような投資行動をとるべきなのでしょうか?
やはりここは今までの経験則にしたがい、各種指標が過熱感を示しているのであれば、少なくとも新規買いは控えるのが賢明でしょう。
もしかしたら10年に1度、100年に1度の反発局面になるかもしれません。しかし、そうなる可能性は低いものです。
「今回はいつもの反発とは違う」と思って、過熱感が充満するタイミングで買いに打って出れば、そこが目先の天井であり、あっという間に買値から2割、3割下落する、というケースは非常に多いものです。
仮に今回は成功したとしても、同じことを繰り返していれば大きく損をしてしまう可能性が高いと言わざるをえません。
一例を挙げてみましょう。カルソニックカンセイ(7248)の株価チャートをご覧下さい。
3月中旬は70円そこそこの株価であったのが、空売りの踏み上げもあって、4月13日には244円まで上昇しました。たった1ヶ月で3.5倍の株価上昇です。
しかし、株価上昇がまだまだ続くと思って4月13日の寄り付きで234円で買ったとしたらどうなっていたでしょうか。4月13日の取引時間中の高値244円が目先の天井となり、わずか3日後の4月16日には171円にまで下落したのです。4月13日の寄り付き値234円からの下落率は約27%に達します。
したがって、過熱感が高まっている最中に、「まだまだ上がる」と少ない可能性に賭けて新規買いをするのは無謀です。あわてずに押し目買いに徹したほうが、結局は安く買えることが多いのです。
もしくは次善の策として、まだ大きく上昇していない出遅れ銘柄を買うということも考えられます。
大きく値上がりしている銘柄を過熱感が高まっているときに買うという行動は、高値掴みの危険性と常に隣り合わせであることを十分に理解しておいてください。