株式市場は押し寄せるデフレの波に洗われつつ、さながら海原をさまよう難破船のごとく株価1万円近辺を彷徨している。「失われた十年」として刻まれる負の資産効果の歴史は、"株は長期保有すれば必ず報われる"という定説を完全に覆した。しかし、あきらめてはいけない。いつの時代もその環境に流されず、投資の勝ち組はマーケットに存在するのである。とくに、個別株の投資戦略はファンダメンタルズよりも、その投資のタイミングこそが重要な鍵を握る
ことになる。
本書では、そのタイミングにスポットをあてると共に、人間心理という要素を存分に加味することで、より実践的な投資の勝ち組への道を説く。株式投資はセンスが肝要で、市場に流れる既存の情報は恣意的なものが多く、また、正しい情報は瞬時に株価に織り込んでしまい役に立たないというのが著者の考えだ。その点、銘柄が残した過去の足取り(=チャート)には嘘がなく、「その先」を読むのにも最強のツールとなる。本書は従来のチャート理論の域を脱して、誰にでもわかりやすい独自のノウハウで"上がる株・下がる株"をズバリ解析する。そのベースとなるのが、「Pゾーン」と「Qゾーン」を駆使した山中式数理投資法で、群集心理に深く食い込んだ売買術は、知らず知らずのうち読み手を引きつけていくに十分な内容だ。全編を通じて、平易な文章と的を射た比喩が、読むものを飽きさせない作りとなっている。
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