■米株ポートフォリオ戦略(ETF・セクター・季節性)
今でこそ、あまたの投資家がマーケットの季節性やアノマリーの重要性に着目するようになったが、
これらはすべてハーシュ親子の研究から始まったのである。
米株を保有する最高の半年は11月から4月までであり、
10月か11月に買って4月か5月に手仕舞えば、利益を増やしつつ、リスクを大幅に減らすことができる。
何十年にもわたる歴史的調査の結果、
ほとんどの市場の利益は11月から4月の6か間に発生することがわかった。
1950年以降、毎年11月1日から翌年4月30日までの間はダウ・ジョーンズ工業平均(DJIA)に投資して、
残りの6か月間は債券にスイッチすることで、リスクを抑えながら信頼性の高いリターンを生み出してきた。
過去60年間、これまでのところ類似した投資戦略を見つけることはできていない。
1986年にこの戦略が初めて見出されてから改善され続けている。
1900年から1951年までは、農業において8月は最高の月であった。
1987年以降、ダウとS&P500にとって8月は、一年を通して2番目に悪い月だ。
2007年から2008年にかけて起きた金融危機によって市場参加者はパニックに陥り、
米国債を除くすべてのアセットクラスの価値が大幅に減少した。
そんななかでも、この戦略は2008年の最悪の月におきた
株式市場の大幅な下落の大部分を回避していた。
ポートフォリオは、あなたをすぐに億万長者にするというものではない。
「バイ・アンド・ホールド」アプローチをもとに、
半分またはそれ以下のリスクで、時間の経過とともに着実に富を構築することを目的している。またテクニカル指標であるMACDと組み合わせて、売買決定のタイミングの確認や支援をする。
4月または10月になると「買い」または「売り」シグナルを確認する。
シグナルが発生したときは「アラート(警告)」を発行する。
また「秋の買い」や「春の売り」を伝えたとき、
個人投資家やトレーダーがどのような行動をとるかは、個人の目標と最も重要なリスク許容度によって異なる。
そこで保守的に実行する方法としては、「イン・オア・アウト・アプローチ」と呼ばれる方法がある。
ベスト期間中は、投資家やトレーダーはフルで株式市場に投資する。
指数連動型ETFや投資信託の購入は、個別株のリスクを軽減するための簡単で安価な方法である。
ワースト期間中に入ると、投資資金は株式投資から現金に変換
もしくは債券ETFまたは債券ミューチュアルファンドを購入する。
このアプローチは、長期的に富を築くための有効な手段である。
また、単純な「バイ・アンド・ホールド」アプローチに比べて
リスクが半分以下に抑えられるという利点もある。
ポートフォリオが現金や債券といった安全な場所に一時的に移されている間は、
株式市場の変動を気にする必要がなく、夏休みやアクティビティをはるかに楽しむことができる。
また別の手段として、より計算された方法でポートフォリオを調整できる。
市場の利益が期待できるベスト期間中に、追加のリスクを取ることもできる。
一方、ワースト期間中は、リスクを完全に排除せず減らすなども検討できる。
2003年および2009年のような過去10年間で、投資家はワースト期間を経験している。
このアプローチは「イン・オア・アウト アプローチ」に似ているが、
すべての株式ポジションを閉じるのでなく、防御的な投資銘柄の保有へスイッチできる。
パフォーマンスの低いポジションは、
手仕舞い、ストップロスの引き上げ、新規の買いを制限するなど、ヘッジ計画を実行している。
アウト・オブ・ザ・マネーのプットの購入、債券市場のエクスポージャーを引き上げるなど、
ベアマーケット・ファンドのポジションは夏場の穏やかな下落相場が
本格的なベアマーケットに突入するようなときにポートフォリオの損失を軽減させている。
これは、ポートフォリオ戦略で採用しているアプローチである。
戦術的なシーズナルのスイッチ戦略に基づく具体的な情報や
セクター・インデックスおよび厳選されたシーズナル、ETFのリストなどを年間を通じて提供する。