| 携帯版 |
|
|
|
フィスコ投資ニュース配信日時: 2026/06/18 11:07, 提供元: フィスコ 上新電機 Research Memo(7):2027年3月期も増収増益の見通し、商品構成の変化等で利益改善を期待(2)*11:07JST 上新電機 Research Memo(7):2027年3月期も増収増益の見通し、商品構成の変化等で利益改善を期待(2)■Joshin<8173>の今後の見通し 2. 中期経営計画「JT-2028 経営計画」 同社は2025年11月に2029年3月期を最終年度とする3ヶ年の新中期経営計画「JT-2028 経営計画」を策定した。同社が目指すのは、創業100周年に向けて持続的な成長を実現し、企業価値を着実に高めていくことである。中期経営計画は単なる業績改善策ではない。家電量販業の構造変化を踏まえた「進化と変革」を主題としており、既存の家電販売モデルに依存しない新たな成長基盤の構築を目指している。前中期経営計画「JT-2025 経営計画」の売上高目標は達成した一方で、営業利益やROEなどの資本効率指標は未達となったことを踏まえ、収益力の強化と事業基盤の再構築に向けた取り組みをアップデートした。 (1) 高橋徹也(たかはしてつや)代表取締役兼社長執行役員CEOの中期経営計画に対する考え方 「JT-2028 経営計画」を創業100周年に向けた重要な節目と位置付け、「人財・組織・顧客」といった無形資産こそが将来の価値創造の源泉であると言及した。そのうえで、これらの無形資産を戦略的に強化・深化させ、持続的な成長を実現することを中期経営計画の中核テーマに据えている。 同社の歩みを「守・破・離」で表すならば、「守」は創業の精神と家電事業の原点、「破」は家電事業の形を進化させる段階、「離」は家電を基盤とした新たな事業領域への挑戦を意味するという。今回の中期経営計画は「守」から「破」への移行期にあたり、未来の「離」への布石を打つフェーズと位置付けられている。高橋社長が描く「破」の姿は「家電量販店版マチの電器屋」である。家電量販店が持つスケールメリットや品揃えに加え、地域の電器店が持つきめ細かな顧客対応力・アフターサービス力を融合し、地域社会の暮らしに根ざした総合的な価値提供を行うことを目指す。これにより、「家電量販店×マチの電器屋」という新しいモデルを創出し、顧客とのつながりを深化させるねらいである。また、有形資産と無形資産のバランスを見直し、資産の効率化・スリム化を進める方針も打ち出している。これは単なるコスト削減ではなく、成長投資へ資本を振り向けるための再構築を意図しており、経営の重心を「効率」から「価値創造」へと移す意思の表れと言える。 (2) 定量目標 同社が収益の定量目標として掲げるのは「営業利益100億円以上」と「ROE7.0%以上」の2点である。同社は売上規模拡大よりも、収益性と資本効率の向上を重視しており、これまで課題となってきた「収益力の再構築」に真正面から取り組む姿勢を示している。家電量販市場が成熟期に入るなかで量的成長よりも質的成長を志向する。営業利益100億円以上は過去最高益に近い水準への回復を意味し、ROE7.0%以上という水準も株主資本コストを上回ることを意識した目標設定である。なお、同社は2026年3月期時点の株主資本コストを8.47%、加重平均資本コストを4.25%と算定しており、ROE目標は資本コストを意識した経営を進めるうえで重要な指標である。 (3) Joshin Reborn Action 2026の位置付け 同社は新中期経営計画を早期に達成して資本市場からの評価を高め、PBR1倍以上を早期に実現するための全社行動計画として「Joshin Reborn Action 2026」を開始した。この行動計画の中心は経営資源の再設計にある。2027年3月期から2028年3月期までを変革フェーズ、2029年3月期を飛躍フェーズと位置付け、不採算店舗の撤収やスクラップアンドビルドにより有形資産をスリム化する。同時に撤収店舗から生まれる人材をリスキリングし、リフォームやモバイル通信などの成長領域へ再配置する。店舗数に依存しない収益構造へ移行し、無形資産の拡充とバランスシート経営を進める方針である。 (4) ドミナント戦略 同社のドミナント戦略は、Joshin Reborn Action 2026ではリアル店舗事業の収益力強化策として再整理されている。関西エリアは売上高と店舗数でリアル店舗事業全体の6割超を占める中核地域である。同社はまず創業の地である関西で「マチの電器屋」のチェーンモデルを磨き、東海、関東、北信越へ展開する考えである。東海ではブランド認知度と市場競争力の強化、関東ではEC事業との親和性を生かした認知度向上、北信越では商圏に応じた店舗配置の最適化を進める。 リアル店舗事業では、不採算店舗を最大15店舗程度整理し、スクラップアンドビルドも進める。原則として2028年3月期までの2年間で完了する計画であり、2028年度の利益目標達成に向けた先行施策と位置付けられる。店舗撤収により一時的な損失は発生し得るものの、人的資本を成長領域へ再投資し、残存店舗の生産性を高めることが主眼である。 2026年3月末時点の直営店舗数は217店舗である。同社は「数ではなく質」で勝負する方針を打ち出し、店舗価値の再構築を優先課題としている。例えば、店舗の立地特性や顧客層に応じて「タイプ別マーケティング」を導入し、地域特性に沿った売り場づくりを推進する。また、異業種とのコラボレーションも視野に店舗空間の再設計を進めることで、リアル店舗を単なる販売拠点ではなく「地域の生活提案拠点」として再定義する構想である。リアル店舗と自社ECサイトとの相互連携、配送・設置・工事・修理を含む自社サービス体制の強化、アナログとデジタルの融合により、「ライフスタイル・サポートカンパニー」への進化を目指す。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬) 《HN》 記事一覧 |