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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2026/06/19 11:25, 提供元: フィスコ

京三製作所:過去最高受注を追い風に成長加速、海外鉄道と半導体電源が次の柱へ

*11:25JST 京三製作所:過去最高受注を追い風に成長加速、海外鉄道と半導体電源が次の柱へ
京三製作所<6742>は、1917年設立の信号システム大手だ。鉄道信号システムや道路交通信号制御システムを主力とし、国内の鉄道・道路インフラを支える企業として長い実績を持つ。事業は「信号システム事業」と「パワーエレクトロニクス事業」の2本柱で構成されており、売上高の約8割超を信号システム事業が占める。信号システム事業では鉄道信号設備、連動装置、ATC(自動列車制御装置)、可動式ホーム柵、道路交通信号制御機などを手掛ける。一方、パワーエレクトロニクス事業では半導体製造装置用電源装置やFPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置用電源装置を展開している。

同社の特徴は、国内信号大手3社の一角として確かな実績と高い信頼性を有している点にある。鉄道信号システムは人命に直結するインフラであり、安全性や安定稼働、保守対応力が重視されるため、長年の実績を持つ企業が優位性を発揮しやすい。特に同社は民鉄向けに強みを持ち、多くの鉄道事業者と長期的な取引関係を構築している。また、道路交通システムや海外鉄道案件も手掛けており、国内インフラ更新需要を取り込みながら事業基盤を拡大している。

2026年3月期は売上高931億円(前期比9.1%増)、営業利益45億円(同26.3%減)となった。売上高は2期連続で過去最高を更新し、受注高も985億円と過去最高を記録した。特に信号システム事業が好調で、受注高825億円、売上高797億円と大きく伸長した。鉄道事業者による安全投資や設備更新需要が拡大していることに加え、Osaka Metro向けATC地上装置や連動装置、名古屋市交通局向け連動装置などの大型案件を受注したことが寄与した。売上面ではインド貨物専用鉄道東回廊向け信号設備や国内鉄道事業者向け可動式ホーム柵などが業績を押し上げた。道路交通システムも大都市圏を中心に交通信号制御機や信号灯器の需要が堅調に推移し、受注・売上ともに増加した。

一方で営業利益は減益となった。背景には人件費や販管費の増加に加え、パワーエレクトロニクス事業における棚卸資産処分の影響がある。同事業では売上高133億円(前期比6.3%減)、セグメント損失23億円となった。FPD製造装置向け電源装置について、エンドユーザーの投資計画が翌期以降へ繰り延べられたことが売上減少要因となった。また、過去の部材調達や製品構成の変化に伴い、販売可能性が低下した棚卸資産を一括処分したことで利益が大きく悪化した。ただし、この在庫処理は一過性の要因であり、今後の収益改善につながる側面もある。

2027年3月期会社計画は売上高902億円(前期比3.1%減)、営業利益56億円(同24.4%増)を見込む。減収ながら大幅増益を計画している点が特徴だ。信号システム事業は引き続き国内鉄道向け設備投資が堅調であり、豊富な受注残を抱えている。鉄道信号案件は受注から売上計上まで数年を要する大型案件も多く、足元の好調な受注が中長期的な業績の下支えとなる見通しだ。また、パワーエレクトロニクス事業では棚卸資産処分の反動がなくなることに加え、半導体製造装置用電源装置の需要回復が見込まれている。半導体関連では前期下半期から主要顧客向け需要が回復しており、今期も継続する見込みだ。

市場環境も同社に追い風となっている。国内では鉄道設備の老朽化更新、ホームドア設置、自動運転化対応など安全投資が継続している。加えて、道路交通信号機の更新需要も安定している。海外ではインドを中心とした鉄道インフラ投資が拡大しており、同社は電子連動装置を年間約200駅向けに納入している。さらにポーランドでは認証取得を進めており、EU補助金を活用した鉄道設備更新需要の取り込みを狙う。海外鉄道市場は中期的な成長ドライバーとして期待される。

中期経営計画「KYOSAN Next Step 2028」では、2028年3月期に売上高970億円、営業利益78億円、ROE10%を目標に掲げている。成長戦略の中心は信号システム事業の海外展開とパワーエレクトロニクス事業の拡大だ。信号システムでは海外受注高を大幅に拡大する計画であり、インドを中心としたアジア市場に加え、欧州市場への参入も進める。また、国内では自動運転対応技術やCBM(設備状態監視による予防保全)関連製品の開発を進める。パワーエレクトロニクス事業では半導体製造装置用電源装置を成長分野と位置付けており、顧客基盤の拡大による受注増加を目指している。

株主還元にも前向きだ。2026年3月期の年間配当は25円、2027年3月期は27円を予定している。中期経営計画ではDOE3%を目標としており、利益変動に左右されにくい安定配当を重視する方針だ。政策保有株式の縮減や財務体質改善も進めており、資本効率向上への取り組みも評価できる。

総じて同社は、国内鉄道・道路インフラという安定した事業基盤を持ちながら、海外鉄道市場と半導体製造装置向け電源という成長分野への展開を進めている。足元では信号システム事業の受注が過去最高水準にあり、国内外のインフラ投資拡大が追い風となる。短期的には大型案件の売上計上時期や部材供給状況に左右される可能性があるものの、中長期では海外展開と収益性改善による成長余地が大きい企業といえる。


《YS》

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