| 携帯版 |
|
|
|
フィスコ投資ニュース配信日時: 2026/09/16 11:34, 提供元: フィスコ プロHD Research Memo(4):Middle市場に注力し、知能資産が蓄積される事業構造へ進化する*11:34JST プロHD Research Memo(4):Middle市場に注力し、知能資産が蓄積される事業構造へ進化する■中長期の成長戦略 1. 中長期の業績見通し プロジェクトホールディングス<9246>グループが属するDX市場は拡大基調にある。同社が2024年3月に公表した「事業計画及び成長可能性に関する事項」によれば、国内のDX関連投資額は2019年の7,912億円から2030年には約3兆円に達し、年平均成長率13%で成長するうえ、DX関連投資の増加はほぼすべての業種に当てはまるため、特定の事業・業界にかかわらず市場が拡大する見通しである。 こうした市場環境を踏まえ、同社では毎期末に足元の事業環境変化や業績見通しを踏まえて見直す「ローリング方式」で3ヶ年業績見通しを公表している。2025年12月期からの3ヶ年業績見通しでは、従来の売上高重視の目標から、営業利益・EBITDA重視の目標へと移行し、利益を成長軌道に乗せる計画に方向転換した。2026年12月期〜2028年12月期の3ヶ年業績見通しについては、2028年12月期には売上高9,000〜10,500百万円、営業利益1,050〜1,650百万円、EBITDA1,200〜1,800百万円を想定し、前回の3ヶ年業績見通しを上方修正している。今後3年間は、人員増によるCAGR20%程度の売上高成長を維持しつつ、単価向上などによって利益率改善を目指す計画である。一方、2030年12月期の長期EBITDA目標1,500〜3,000百万円は、前回公表時から据え置いたものの、足元の状況を踏まえると、レンジ内の30億円に近い水準をねらえるとの想定である。同社では、利益成長計画が想定どおりに進捗した場合、グロース市場の新上場維持基準である時価総額100億円は十分に達成可能であると見込んでいる。 2. 成長戦略 同社では、中長期業績見通しを達成するために、(1)Enterprise(大企業)に加え、新たにMiddle(中堅)市場へ顧客基盤を拡大、(2)知能資産が蓄積される事業構造へ進化、を成長戦略の両輪に掲げる。 第1に、Enterprise市場を成長基盤として継続強化するとともに、新たな重点成長領域であるMiddle市場を早期に開拓する。日本企業では生成AI活用はまだ発展途上であり、活用を推進している割合は大企業で約60%に対し、中小企業では約30%に過ぎないとの調査データもある。そこで、同社では、Enterprise市場への継続強化に加えて、投資余力があり、迅速な意思決定が可能で、人材が不足しているMiddle市場を新たな重点成長領域として早期開拓を目指す計画である。 第2に、知能資産を蓄積・高度化し、成果創出の再現性を高めることで、顧客への提供価値と同社の事業価値を継続的に拡大する。現場伴走型コンサルティングとAIプロダクトの両輪で、業務・意思決定データを継続的に蓄積・構造化し、成果創出の再現性を高める知能資産へ転換する。すなわち、生成AIの活用を拡大することで、コンサルタントを補完する計画である。 こうした成長戦略によって、コンサルティングとAIプロダクトを相互に接続し、顧客接点・知能資産・収益機会が循環する事業モデルを構築する計画である。すなわち、Enterprise・Middleそれぞれの顧客特性に応じて、コンサルティングとAIプロダクトの役割を組み合わせ、顧客接点の拡大、知能資産の蓄積、収益機会の創出を循環させる。こうした事業戦略の推進に伴い、人月収益(人が働く時間を基に得る収益)を基盤として成長させながら、非人月収益(人の稼働時間に直接は連動しないプロダクトや成果報酬型などの収益)が積み上がる、複層的な収益構造への進化を目指す計画である。 以上のとおり、同社グループでは3ヶ年業績見通しの達成に向けて、成長戦略は構想段階から実行段階に移行している。すなわち、Enterpriseコンサルティングの生産性向上、Middle市場の開拓、AI実装体制の強化、AIプロダクトの開発、を並行して進め、成長戦略を実行する基盤を構築している。今後の進捗状況や成果に期待を持って注視したい。 ■株主還元策 企業価値の向上によるリターンでステークホルダーに報いる 同社は株主還元策としての配当を実施していない。現在は成長戦略推進のための人材投資や事業開発投資に資金配分をしており、配当については将来成長に必要な投資に十分な内部留保を確保できたと判断した後、資本効率等を踏まえて検討する予定である。 株主・顧客・従業員・ビジネスパートナー等のステークホルダーに対しては、企業価値の向上によるリターンという結果を出せるよう、成長戦略を推進している。コーポレート・ガバナンスの強化(監査等委員会設置会社への移行、社外取締役比率の向上、業績連動型報酬の導入など)、社内制度への企業理念の落とし込み(従業員の評価と企業理念の連動化を図るなど)、成長戦略に基づく新たな人材の登用など、企業価値向上のための施策にも着手している。また、株主還元の充実及び資本効率の向上を目的に自己株式の取得を実行しており、2026年8月7日に取得を完了した。取得した株式は、株式報酬制度の交付原資としての活用を予定している。 一方、株主への還元及び株主との対話の強化、株主管理のDX促進を目的に、2024年12月期より株主優待制度を新設した。毎年3月末と9月末の株主名簿に基づき、300株以上保有する株主を対象に保有株数に応じてポイントを付与するもので、貯まったポイントは5,000種類以上の魅力的な優待商品と交換できる仕組みであり、株主還元にも配慮していると評価できる。株主優待制度により、同社株式の投資魅力をより一層高めるとともに、株主のデータベースを活用したPR情報・決算情報等の配信など、より効果的な株主との対話を実現し、企業価値の向上・事業拡大に資する取り組みを検討している。将来的には十分な利益水準や内部留保を確保できたと判断した段階で、株主優待・配当・自社株買いを組み合わせて株主還元を強化する計画である。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希) 《HN》 記事一覧 |