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フィスコ投資ニュース配信日時: 2026/10/01 12:07, 提供元: フィスコ ロジザード Research Memo(7):WMS事業は引き続き好調に推移、新規事業の立ち上げで先行投資局面へ(1)*12:07JST ロジザード Research Memo(7):WMS事業は引き続き好調に推移、新規事業の立ち上げで先行投資局面へ(1)■今後の見通し 1. 2027年6月期の業績見通し ロジザード<4391>の2027年6月期の業績は、売上高が前期比15.3%増の2,808百万円、営業利益が同0.0%減の404百万円、経常利益が同0.7%減の405百万円、当期純利益が同4.6%減の288百万円を見込んでいる。主力のWMS事業については、BtoB案件の拡大やMRRの積み上がりを背景に引き続き増収増益を予想しているものの、新規事業である「Bit Waybill」への先行投資を積極化するため、全社ベースでは利益水準がおおむね横ばいとなる見通しである。 「Bit Waybill」では、サービス開発に伴う事業投資がリリース後に減価償却費として継続的に発生するほか、市場開拓や利用企業獲得に向けたプロモーション費用などの販管費も先行して計上される。このため、事業立ち上げ初期は収益よりも費用が先行する構造となり、既存事業の利益成長が新規事業への投資負担によって相殺される形となる。 同社では2027年6月期から2029年6月期までの3年間を「Bit Waybill」の投資フェーズと位置付けており、短期的な利益最大化よりも市場形成と利用者基盤の拡大を優先する方針だ。一方で、取扱件数の増加に伴い売上高は段階的に拡大し、一定規模に達した段階で収益が費用を上回る構造を想定している。「ロジザードZERO」やその前身サービスも同様に先行投資期間を経て成長軌道に乗った経緯があり、「Bit Waybill」についても同様の成長プロセスを描いていくのではないかと弊社では見ている。 2. 「Bit Waybill」による新たな取り組み 同社が2026年秋の提供開始を予定する「Bit Waybill」は、共通物流データ基盤であり、貨物ごとに共通IDとなるBWB番号を発行し、物流に関わる企業間で貨物情報を共有する仕組みである。従来の物流では、倉庫事業者や運送会社などが個別のシステムで貨物情報を管理しており、企業をまたいだ情報連携が難しいという課題があった。「Bit Waybill」では、基本的にパレット単位の貨物に対して共通IDを付与し、ブロックチェーン技術を活用して貨物情報を管理することで、物流企業間で同一貨物の情報を共有できる環境の構築を目指している。 同社が「Bit Waybill」を展開する背景には、物流業界における輸送力不足への対応と物流効率化の必要性がある。物流業務では、荷物を複数の運送会社がリレー形式で輸送したり、複数企業が共同で配送したりすることで、限られた輸送リソースを有効活用できる余地がある。一方、企業ごとに貨物情報が分断されていれば、荷物を引き継ぐ際の情報連携が障壁となる。「Bit Waybill」は、貨物に共通のIDを付与することで、倉庫、荷主、運送会社など異なる企業が同一の貨物情報を共有できる状態を作り、共同配送や幹線輸送の効率化を支えることをねらっている。さらに中長期的には、貨物を複数の事業者が効率的にリレー輸送する「フィジカルインターネット」の実現に向けたデータ基盤となることを目指している。 同社にとっての最大の強みは、既存のWMS事業を通じて物流現場のデータと顧客基盤を有している点である。同社は倉庫側のシステムを提供する立場にあり、年間1億1,000万件以上の貨物を出荷できる基盤を持つことから、「Bit Waybill」を利用する貨物の起点を押さえている。同社経営陣も、この「荷物を送り出す側」にいることを「Bit Waybill」展開における重要なポジションと捉えており、既に複数の運送会社とサービスへの参加について協議を進めている。加えて、自社の「ロジザードZERO」に限定せず、競合するWMSベンダーにも参加を働きかけることで、特定企業のサービスに閉じない共通基盤として普及させる方針だ。Hacobuやハコベルなどの物流DXサービスについても、競合する対象というより、「Bit Waybill」の基盤上で貨物を取り扱うアプリケーション提供者として参加を促す考えであり、複数のサービスを横断して輸送力を共有できるエコシステムの形成を目指している。 一方、「Bit Waybill」がネットワーク効果を持つサービスであることを踏まえると、初期段階でいかに参加企業を増やすかが普及のカギとなる。同社は、第1にBWB番号を利用するWMSや配送関連サービスなどのアプリケーションを増やすこと、第2に実際に貨物を取り扱う運送会社や荷主企業を増やすことの2点を主要な課題として挙げている。特に、参加企業が増えることで共同配送などの具体的なユースケースが生まれ、その効果が確認されれば、成功事例を契機として参加企業がさらに増加するという自律的なネットワーク拡大を想定している。同社によれば、全国約6万社のトラック運送事業者のうち5%程度が参加すれば事業として成立し、その後は成功事例の伝播によって利用率が高まる可能性があるとの見方である。 もっとも、「Bit Waybill」は現時点ではローンチ前であり、具体的な料金体系や利用実績はまだ確定していない。同社は収益モデルについて、定額課金よりもBWB番号の利用量に応じた従量課金に近い形を想定しているものの、詳細はサービス開始時に公表する方針である。また、2026年秋のサービス開始に向けて現在は最終テスト段階にあるため、具体的な開始日は現時点で確定していない。したがって、当面は売上・利益への寄与そのものよりも、参加するWMS・配送サービスの数、利用企業数、BWB番号の発番件数など、ネットワークの形成状況を確認することが重要となる。同社も今後は「Bit Waybill」単独での情報開示を行い、BWB番号の発番件数など何らかのKPIを提示する方針を示している。 弊社では、「Bit Waybill」は単なる新規サービスというより、同社が従来のWMSベンダーから総合物流DXベンダーへ事業領域を拡張するための中核的な取り組みと捉えている。既存WMS事業が「倉庫内の物流データ」を集約する役割を担うのに対し、「Bit Waybill」はそのデータを倉庫から輸送、配送へと広げ、企業間で共有するための基盤となる可能性がある。特に、同社自身が大量の貨物を送り出す立場にあり、既存WMS事業を起点として運送会社や他社WMSを巻き込める点は、ゼロからネットワークを構築するサービスと比較した際の優位性になり得ると考える。一方で、ネットワーク型事業の性質上、初期段階では利用者の獲得とユースケースの創出が重要であり、今後はサービス開始後にどの程度の企業・サービスを接続し、実際の物流効率化につながる事例を創出できるかが、「Bit Waybill」の事業性を見極めるうえでの重要なポイントとなろう。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司) 《HN》 記事一覧 |